「ビブレ」「サティ」はどこへ消えた?“愚策”だった「マイカルタウン」の新規出店攻勢
日刊SPA! / 2024年11月2日 8時53分
衣類品コーナーを旧店舗から大幅に縮小したほか、スポーツ用品やオーディオを取り扱い、若者受けを狙いました。旧ニチイ店の年間売上高が40億円台であったのに対し、天神ビブレのそれは86年度に97.8億円と倍増。天神店の成功例に倣い、ニチイはビブレへの転換と新規出店を各地で進めます。
また、84年には新業態店「サティ」を開業しました。サティは「生活百貨店」をテーマに、従来の安売りではなく質にこだわったGMSと位置づけ、ダイエーやヨーカドーといった従来型GMSとの差別化を図りました。実態として通常のGMSと大きく変わりませんが、成長期ということもありサティは各地で勢力を拡大しました。「マイカル宣言」によりグループ名をマイカルに変更した88年以降はニチイからサティ・ビブレへの業態転換を加速、後にサティは同社店舗の8割を占めるようになりました。
◆「マイカルタウン」で大型投資を行う
個性派GMSに飽き足らず、マイカルは次に大型ショッピングモール「マイカルタウン」で勝負に出ます。1号店は米軍跡地を活用して1989年に開業した横浜の「マイカル本牧」です。総投資額は400億円。敷地面積は3万3千平米と当時最大級で、映画館やフィットネスクラブ、銀行・郵便局などもありました。
初年度は年間1,600万人が来場するなど成功したようですが、バブル崩壊でテナントが次々撤退し、すぐに衰退しました。最寄駅からバスで10分以上かかるなど立地が悪いことや、90年代に「みなとみらい21」の開発が進み横浜のレジャースポットが充実したこともマイカル本牧が失敗した要因です。
しかし何故かその後の投資も止まらず、マイカルはサティとマイカルタウンの新規出店を継続しました。1995年から99年にかけては桑名、明石、小樽など国内だけでなく中国の大連にもマイカルタウンを出店しています。初期投資額650億円を投じた小樽店は「ヒルトン小樽」と隣接する大規模モールですが、本牧店と同じく失敗し、後にホテルと共に経営破綻しました。立地の悪さという根本的な原因もさることながら、消費者のニーズをつかめなかったことがマイカルタウンの失敗につながったと言われています。不景気下で消費者が安さを求めているにもかかわらず、商品・売場構成に関してバブル期以前のやり方を継続していたようです。
◆負債増大で手が回らなくなり…
マイカルの売上高は2000年に1兆円を達成するなど規模は拡大し続けていました。しかしマイカルタウンを主とする莫大な投資額に見合った収益を得られず、負債はどんどん膨らみました。1989年2月期末時点で1,566億円だった有利子負債は2001年2月期には1兆1,200億円にも拡大しています。
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