「ONE PIECE 」「SLAM DUNK」の東映アニメーションが“大躍進”。「ガールズバンドクライ」DVD2万本を突破で新境地を開く
日刊SPA! / 2024年11月7日 8時53分
「ガールズバンドクライ」は東映アニメーションの中でも特異なもの。この会社は「ワンピース」や「ドラゴンボール」、「プリキュア」、「おしりたんてい」など、子供をメインターゲットとしたアニメを得意としています。一方、「ガールズバンドクライ」は明らかに成人がターゲット。そこに違和感がありました。
しかも、ガールズバンド系のアニメは過去にヒット作がいくつも誕生しています。「けいおん!」や「BanG Dream!」、「ぼっち・ざ・ろっく!」などです。
◆「ガールズバンドクライ」の期待値が低かった理由は?
「けいおん!」はバンドアニメの火付け役。「ぼっち・ざ・ろっく!」は音楽性の高さでファンを魅了しました。「BanG Dream!」から派生して誕生した「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」は、従来には見られないドロドロとした人間関係を描いて新境地を開いています。どれもバンドアニメの中では屈指の人気作品です。
「ガールズバンドクライ」のプロジェクトのスタートは2019年。アニメ制作の前に、バンドのオーディションを行って5人組の「トゲナシトゲアリ」というグループを結成。アニメの前に楽曲を作り、バンドのメンバーが声優と音楽の演奏を行うという大がかりな企画でした。この手法は斬新ですが、「BanG Dream!」がすでにその成功モデルを作っていました。3Dアニメという表現方法も本作の後追いと言えるものでした。
つまり、ガールズバンドアニメはやりつくされた印象があり、東映アニメーションの新作に真新しさは見当たらなかったのです。
更に悪材料はまだありました。この作品は脚本を花田十輝氏が務めています。実は同氏がシリーズ構成を担当し、2022年に放送を開始した「ラブライブ!スーパースター!!」の2期は一部のファンの間で大炎上していました。その多くは、ストーリーやキャラクターがイメージしていた方向性とは違うというもの。
「ラブライブ!」は音楽を扱うアニメでもあり、「ガールズバンドクライ」は期待値の低い状態からのスタートだったのです。
◆“従来とは異なる層”を取り込んだ意味は大きい
しかし、見事なヒットを飛ばしました。「ガールズバンドクライ」の主人公は、ロックの申し子ともいうべき人物。顔がむかつくという理由でバンドメンバーにウーロン茶をかけ、路上を歩く会社員に向かってシーリングライトを投げつけるなど、傍若無人なキャラクターとして描かれています。他のメンバーの個性も際立っており、それぞれが衝突する様はこれまでのヒット作とは一線を画すものでした。
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