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ギャル漫画家・浜田ブリトニーの今。スピリチュアルにハマり1500万円の“開運投資”→「脱スピ」するまで

日刊SPA! / 2024年11月9日 15時52分

◆周囲のアドバイスも、聞く耳を持てず…

――浜田さんの周囲には多くのご友人や仕事仲間がいらっしゃると思いますが、「あまり傾倒しすぎないほうがいい」という助言はなかったのでしょうか?

浜田:振り返ると、そうしたアドバイスは結構いただきました。けれども当時の私は、「みんな、これで運が引き寄せられているのに、なんにも知らないんだな」と思っていました。どちらかというと、運の“引き寄せ”についての真実を知っているのは自分のほうで、周囲が無知だという認識でいたんです。

――立ち入った質問かもしれませんが、スピリチュアルに傾倒した時代に離婚も経験されていますよね。

浜田:そうですね、パートナーとの気持ちがすれ違っているのは私も気づいていました。でも当時の私は、それをパワーストーンの力が弱まってきたせいだと考えていたんです。実際、パワーストーンの力は自然に目減りしていくものとされていて、それを補うために「浄化グッズ」というものが販売されています。もちろん、それらを購入したり、あるいは“愛を取り戻す開運セミナー”に通ったりしました。セミナーでは、私には見えない“光”が見えるという人が会場の客席から数名現れて、私は懸命に目を凝らしたりしていました(笑)。

◆聖書と出会い、これまでの行いを改めようと考えた

――その後の浜田さんの傾倒ぶりも、Kindle書籍で拝読しましたが、なかなか濃いエピソードが満載ですよね。ただ、浜田さんは数ヶ月前にきっぱりと「脱スピ」を宣言されている。これほどのめり込んだスピリチュアルから脱却しようと決めたのは、どうしてですか?

浜田:その当時の私は、さまざまな知人にグッズを勧めるから「スピトニー」とか呼ばれていて(笑)。ただ、自分のなかでまったく疑問がなかったわけではないんです。というのは、私が占いに駆け込んだとき以上のどん底状態に遭ったんです。どこかで、「開運投資は効果が薄いのではないか」と思っていたのかもしれません。そこにちょうど出会ったのが、聖書でした。詳細は書籍に書いてあるので省きますが、牧師さんとの出会いや聖書に書かれた「終末期にニセ預言者が現れる」という趣旨の文言にハッとさせられて、これまでの行いを改めようと考えたんです。

◆ヒヤヒヤすることに疲れてしまった

――一連の開運投資から得られたことがあれば、教えてください。

浜田:意外と思われるかもしれませんが、私は「脱スピ」をしたものの、スピリチュアルのすべてに意味がないとか、現在ハマっている人を馬鹿にしようとは思っていません。むしろ、人生のどん底を経験したとき、人間の力を超越したものに頼りたくなる気持ちは理解できるんです。ただ単純に、人生において良いことや悪いことが起きたときに、「このグッズのおかげだ」「パワーが落ちているんだ」とヒヤヒヤすることに疲れてしまったんです。だから当時のグッズは記念写真に残して、捨てることにしたんです。思い出は残して、ものは捨てる。それでまた明日も前を向いて生きていけると感謝して、進んでいくことに決めたんです。

=====

これは一世を風靡した人気漫画家の転落の物語以上の意味を持つ。少なからず浮き沈みを経験する誰にでも陥る可能性のある、依存の話だ。困ったとき、落ち込んだときに声を上げられれば、一番いい。けれども状況や立場によってはそれが叶わない。孤独という種が、次々に災難を発芽させる。負のスパイラルのなかで、いかに主体的に生き、そして客観的な視点を維持できるか。

本書を笑い飛ばせる人は、まだ幸福だろう。タイトルを見て心に何かが沈殿した人にこそ、届くといい。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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