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飲食店の倒産が過去最多ペースに…好調な「丸亀製麵」にも気になる“3つの兆候”が

日刊SPA! / 2024年11月11日 8時52分

◆攻めに転じない企業は難しい

 しかし、今の若い世代は働き方も違い、自らのプライベートを大切にし、かつお酒を飲まない人も増えているようだ。コロナ過で働き方が変わり、職場の人間関係も稀薄になったことも要因だろう。忘年会など最も居酒屋が潤うシーズンも、開催の減少、参加人数の減少に見舞われているようだ。

 最後に後継者不足の問題だ。親が子供を連れて楽しく食事する風景など、かつてはよく見られたが、失われた30年で店主の高齢化と共に常連さんの高齢化も進んでいる。さらに貧困家庭が増えたことで、親世代のようには頻繁に外食に行けないのが実情だ。

 店の伝統とこだわりを重視し過ぎ、店主と顧客の世代交代に向けた店舗政策を講じなければ顧客の若返りは期待できず、店の存続は困難であることを物語っている。「中小企業白書」によれば、経営者が若返りした企業は業績も向上している。

 それは経営者が高齢化すると、どうしても守りに入ってしまうからだ。守りから攻めに転じて、経営革新に力を入れていかねば成長は難しい。

◆昔とは変わってきた外食への価値観

 人手不足や賃金上昇を背景に、ITを積極的に利活用した業務の効率化・省力化・自動化を推進したDX化を導入する外食大手は多い。しかし、外食は他の産業と違い、付加価値額が多い産業であることを忘れてはいけない。

「企業は人なり」と多くの企業が認識を持つが、特に労働集約型の外食業界はその意識を強く持たないといけない。「賃金を上昇させる」と言っているものの、現実的には難しいのが実情だ。

 実質賃金が下がり節約志向が高まる中、外食をやめて自らがスーパーで食材を購入して調理する内食が増えているのは仕方ない。

 原価3割程度のビジネスを成立させるために必要なのは、7割の付加価値分をお客さんが気持ちよく支払ってくれるビジネスモデルが必要だ。少ない投資で大きな効果を狙い、より効率性を重視する大手ファミレス企業の一方で、トリドールのようなクリエイティブな効果を狙う外食企業と、今後は二分されてくるのではなかろうか。

<TEXT/中村清志>

【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan

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