メンタルダウンから生き延びた元幹部自衛官が説く、“アスファルトに咲く花”の強さよりも大切なもの

◆自分の握りしめた武器でも戦えるところがあるんだ
　というのも、私自身が環境を変えただけで、人生がいい方向に進み始めたからです。
　
　まず、仕事では、公務員から一般企業へ転職しました。

　すると、これまでの仕事では当たり前とされていた知識や経験を転職先では持っている人がおらず、活躍できる場面が多くなり、評価してもらえるようになりました。

　異世界に転生してチート能力で無双する主人公というと言いすぎかもしれませんが、「自分の握りしめてた武器でも戦えるところがあるんだ」と感激しました。

　今までの努力が一気に花開く形になったんです。

　住む場所も仕事や生活に便利なところに変えました。職場やスーパーマーケットが近くなると、移動の時間が削減されて、自分の時間が生まれます。

　自分の時間ができたおかげで、畑を借りていろんな野菜を育てたり、狩猟の免許を取ったり、SNSで自分のことを発信したり、たくさんの趣味ができました。これらの趣味を通じて新たな出会いが生まれ、会社と自宅以外にも自分の居場所ができました。

◆自分の花を咲かすことができる場所に移ることもまた強さ
　実は「アスファルトに咲く花」も同じだと思っています。個体としての強さだけで花が咲くわけではないんです。

　アスファルトに咲く花は、アスファルトからニョキニョキ生えているわけでなく、その隙間から咲いています。ということは、まわりに他の植物がいないので、たくさんの日光を浴びることができますし、土のなかの水分や養分をたっぷり吸収することができるんです。

　つまり、アスファルトに咲く花は、一見すると過酷な環境にいるように思えますが、花を咲かせるのにすごく適した環境にいるんです。

　困難に負けないという気持ちは大切ですが、自分に合わない環境で踏まれてばかりいると、花を咲かせるどころか、しまいには枯れてしまいます。

　困難に負けないことも強さですが、花を咲かすことができる場所に移ることもまた強さだと思います。植物にはできませんが、人にはそれができます。

　強くなりましょう、アスファルトに咲く花のように。

自分の身を置く環境次第で、人生は良くも悪くも変わってくる

【わび】
とある企業の危機管理屋。以前は幹部自衛官として、おもに師団司令部、方面総監部などに勤務。現在は会社員として働きながら、趣味の畑仕事や狩猟などを楽しむ日々を過ごす。一方で、転職をきっかけに自衛隊などの社会人経験で身につけたメンタルコントロール術、仕事や人間関係に対する向き合い方などを中心にXで発信を開始。フォロワー数は17万人を突破し、投稿はネットニュースなどにも取り上げられるなど、人気を博している。著書に『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語るこの世を生き抜く最強の技術』、新刊『人生から逃げない戦い方　メンタルダウンから生き延びた元幹部自衛官が語るユル賢い生存戦略』