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葬儀屋バイト芸人に聞いた“近年の葬儀事情”。「親の葬儀にお金をかける人」には意外な共通点が

日刊SPA! / 2024年11月24日 15時54分

あと、感染防止のためにスタッフが一人だけ病室に入り、iPadにお顔を映して、遠隔でご遺族と最期のお別れをしてもらうように変わりました。コロナの恐ろしさを教えてもらってからは、コロナ以外で亡くなったご遺体だけを担当するようになりました」

芸人としても危機感を抱いた安田さんは、知り得た情報を所属事務所に伝え、ライブを中断するよう直談判。2020年に入り、浅井企画は他の事務所に先駆けてライブを自粛した。

◆葬儀屋バイトだからわかる、小規模葬儀の落とし穴

近年、増えているのが家族葬などの小規模なお葬式だ。親族や知人を招く一般葬の平均相場は約200万円と言われているが、家族葬になると大きくコストダウンできる。そのため、小規模葬儀がブームとなることは仕方ないが、注意が必要だと指摘する。

「中には20~30万という低価格のプランもあります。テーブルにお位牌を置くだけといった本当にシンプルなものもあって、寂しいという理由から、お花などのオプションをどんどんプラスしていき、結局200万円近くになったという話も聞きます」

また、アレコレ考えずにパッケージ化されている葬儀屋に頼んだ方が安く済んだという後悔の声も聞こえたという。では、低価格でも後悔しない葬儀をするには、どうしたらいいのか?

「一度、参列者が奥さんだけの葬儀を担当しました。テーブルに香炉とお位牌が置かれ、喪主の奥さんがお焼香をしたら終わりっていう。僕的には寂しさを感じたのですが、ご遺族が納得されてるなら規模や価格は関係ないんだな、とも思いました」

◆派手じゃなくていい「理想のお葬式」

様々な葬儀を見ることで、「葬儀は安ければいいワケではないが、高いからいいワケでもないと気づいた」と続ける。ご遺族とのやりとりをする中で、お金をかけた葬儀に共通する、ある特徴を見つけたそう。

「親孝行できなかった人ほど、両親の葬儀にお金をかけがちですね。たぶん、生前に何もしなかったという罪悪感があるのでしょう。反対に、質素な葬儀を希望されるのは、長く一緒の時間を過ごしてきた場合がほとんどです。よく、『本人も豪華にしなくていいって言ってたから』と言われます」

そこから、「お金をかけるからいい葬儀」ではないと思うようになったという安田さん。さらに、参列者の様子などもからも「いいお葬式」の輪郭が見えてきたという。

「親しい人が亡くなって悲しいはずなのに、『あいつ、昔こんなことしたよな』って昔話で盛り上がっているのを見ると、いいお葬式だなと思います。お葬式って、残された人の気持ちを慰めるためにすると思っているので、規模とか派手さよりも、参列者が後悔のないお別れができるかといったことの方が大事なんじゃないかなと思いました。

いつかはわかりませんが、自分のお葬式も、来てくれた友人たちが笑顔で見送ってくれるような、そんなお葬式になればいいなと思いました。そのためにも、まわりの人を大切にしながら、一日一日をきちんと生きようと思います」

<取材・文/安倍川モチ子 撮影/林紘輝>

【安倍川モチ子】
東京在住のフリーライター。 お笑い、歴史、グルメ、美容・健康など、専門を作らずに興味の惹かれるまま幅広いジャンルで活動中。X(旧Twitter):@mochico_abekawa

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