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セブン&アイ「9兆円MBO案に潜む“危険な賭け”」。非上場で外資による買収は回避できるけど

日刊SPA! / 2024年11月24日 8時52分

 また、このMBOには伊藤忠商事が出資者として関与している点も注目に値する。伊藤忠商事は、すでにファミリーマートを完全子会社化している企業だ。もし今回のMBOが成立すれば、日本の3大コンビニチェーンのうち2社が伊藤忠陣営の傘下に入ることになる。

 これにより、国内市場における競争環境への影響が懸念されている。特に独占禁止法に基づく規制当局の対応がどのようになるかは、不透明な部分が多い。さらに、三菱商事とローソンの連合も、こうした動きを黙って見過ごすことは考えにくい。日本のコンビニ業界は、このMBOを契機に新たな勢力図の形成を迫られることになりそうだ。

◆セブン&アイの未来はどこへ向かう?

 では、セブン&アイはこのMBOを選択するべきなのか、それともクシュタールの提案を受け入れるべきなのか。この選択は、同社の未来を大きく左右するものとなる。

 MBOを通じて非上場化すれば、外資による買収リスクを回避できる一方で、巨額の借入金による経営負担がのしかかる。事業拡大や国際展開の余地が狭まる中で、同社が持続的な成長を維持できるかどうかは未知数だ。

 一方、クシュタールの買収提案を受け入れた場合、セブン&アイは外資傘下に入るリスクがあるものの、その資本力を活用して国際市場での地位をさらに高めることが期待できる。特にクシュタールのネットワークを活用することで、北米市場や他の新興市場への進出が加速する可能性がある。

◆鍵を握るクシュタールの次の一手

 今回の報道で注目されるのは、クシュタールの次の動きだ。同社は提案額を6兆円から7兆円に引き上げ、セブン&アイへの買収意欲を一層強めている。それでも拒否された場合、敵対的買収に踏み切る可能性が高いとされる。

 この場合、セブン&アイはどのように対抗するのか。株主との対話や法的な対応が鍵を握るだろう。また、これまでの提案を拒否し続けてきたセブン&アイが、MBOという策を最終的に採用するのか、それともクシュタールとの交渉に軟化するのか、今後の動向に注目が集まる。

 株価が買収報道を受けて急上昇する一方で、セブン&アイが発行した社債の価格は下落を続けている。

 日本証券業協会のデータによれば、2022年11月に発行された10年物の普通社債(表面利率1.392%)は、今年8月には101.5円だった価格が、11月15日時点で98.37円(中央値)まで下がった。これは買収提案が明らかになった以降、社債への売り圧力が増しているためだ。

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