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“薬剤師ホスト”が抱く壮大な野望「医療格差や患者のたらい回しといった問題を改善したい」

日刊SPA! / 2024年11月27日 15時53分

 薬剤師国家試験の勉強法や覚えやすい語呂をSNSで発信していると、「勉強を教えてほしい」と連絡をもらうように。需要を感じたルイさんは、薬剤師を目指す人のための塾を始めた。すると全国から生徒がたくさん集まり、その授業料で自身の学費を払えるようになった。

「両親は塾がうまくいったことを喜んでおり、今は僕の仕事を認めてくれています」

◆薬剤師の待遇を変えるため、ホストになることを決意

 薬剤師国家試験をトップクラスの成績で合格し、免許を取得。そして大学卒業後にバンド活動をしていたが、コロナ禍で思うようにライブができなくなり、音楽の道を諦めざるを得なかったという。だが、そのときのルイさんにはもう、薬剤師になるという選択肢はなかった。

「日本では高齢化が進み、医療費が過剰にかかっている現状があります。病院実習の際、待合室で高齢の患者さんたちが『今日はあの人(別の高齢の患者)が来てないね』と話し合い、まるで団欒の場のようになっている様子を目にしました。高齢者が優先される一方で、若い世代の診察が後回しにされることもあります。このような無駄な医療費が発生している状況を目の当たりにし、医療格差や患者のたらい回しといった問題を改善したいと強く感じました。

 そこで、自分の薬剤師資格を活かして、無駄な通院を減らす取り組みを進め、薬剤師が地域の人々と直接関わる機会を増やしたいと考えるようになりました。そして、薬剤師の地位向上を目指した薬局を自分で開業することを決意しました」

◆「薬剤師ホスト」の肩書きがXでバズって売上アップ

 ホストは未経験だったが、バンドマン時代にファンと接していたことで、女性への接客は最初から得意だったというルイさん。入店1か月目から売上ランキング上位に入ることができたという。

「『資格を活かさないでホストになるなんて』とバッシングを受けて嫌われると思い、最初は薬剤師資格を持っていることを隠していました。しかしX(旧Twitter)に力を入れようと覚悟を決め、恐る恐る公表したら、びっくりするほどバズり、批判的な声はほとんどありませんでした。そして、そのポストを見て来店するお客さんも増え、さらに売上が伸びました」

 2024年11月15日に、東新宿で薬膳カフェ併設の薬局をオープン。薬局だけでなく薬膳カフェも手がけることを決めた背景には、「日本の医療を変えたい」という強い思いが込められている。

 店舗のコンセプト作りから物件選び、スタッフの採用まで、すべてをルイさんが手がけている。

「11月にオープンした1店舗目は、あくまでスタートラインです。上場企業を目指して薬膳カフェ併設の薬局を全国に展開し、医療業界に貢献していきたいです」

<取材・文/橋本 岬>

【橋本 岬】
IT企業の広報兼フリーライター。元レースクイーン。よく書くテーマはキャリアや女性の働き方など。好きなお酒はレモンサワーです

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