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「この出来損ない!」医学部卒の教育ママが息子に与える“教育虐待”の実態

日刊SPA! / 2024年11月29日 8時51分

 親から言われ続けた言葉は、今も妻の中で何度も蘇り、現在進行形で彼女を傷つけ続けているという。その傷が癒えないまま、やり場のない感情は我が子に向かっているようだ。

「ほんとに字が汚すぎる。これなら書かない方が100倍マシ。今すぐ全部消してやり直して」
「また100点取れなかったんだ。勉強が足りないんだね。普段何してんの?」
「学校で100点取ってないなら、塾でだけ100点とっても何の意味もないこと、ちゃんとわかってるわけ?」

 こういった妻からのキツい言葉が降り注ぐ毎日。心の負担が子どもに降りかからないよう、智之氏は子どもを守るように寄り添っている。

「子どもはね、かなり優秀なんです。ケアレスミスは結構多いから、妻は止まることなく怒りまくってるんだけど、その一方で誰にもできない問題とかはやりたがるんですよ。うまくいけば偏差値が75くらいのトップ中学校に入学できるんじゃないかな。それでも妻は子どもに泣くまで叱り倒してることもあります」

◆息子の中学受験は夫に相談なし…

 智之さんの話を聞く限り、あまり夫婦間で中学受験に対する意見が合致していないようにも感じるが、そもそもどういった経緯で中学受験をさせることになったのだろうか。

「『二月の勝者―絶対合格の教室―』っていう漫画知ってます? 中学受験を成功に導くカリスマ講師の漫画なんですけど、あそこに絶対的な“勉強を始める黄金期”みたいなのがあるらしいんですよ。小学3年生の3学期からだったかな。だから、そこから通い始めて。もう彼女の中で相談なんて選択肢が浮かばないくらいに受験することが決まっていて、『よし、この時期がいよいよ来たぞ』っていう感じでした」

◆教育ママが息子に求めることは

 では、妻が最終的に子どもに望むことはなんなのだろうか。

「妻は、最終的に海外の有名大学に入学させることを視野に入れているみたいですね。ハーバードとか。まぁ、この感じの詰め込みの勉強のさせ方で世界に行けるなんて思わないけど……。本人が優秀なんだから、ほっとけばいいと思うんですよ。楽しいことをして夢中になれる何かに出会ったりした方がよっぽど世界に通用する子になる。僕が言っても全く聞いてもらえないんですけどね……。だから高校生になったら寮にでも入って、母親から離れてほしいなと思います」

 彼女は「中学受験が終わったら、子どもにはもう干渉しない」と宣言しているようだが、果たして本当にそうなるだろうか……。

 止めたいけど止められない。子どもへの期待という名の一種の依存症ともいえる状態を、彼女自身も良しとはしていないのだという。一流の学校に入学するということは、今度はそこでの競争が待っているということにもなるだろう。

「この依存を今度こそ断ち切る」その気持ちを強く持っておかなければ、自らを変えることはなかなか難しいはずだ。母と子、それぞれが幸福に過ごせる日常であってほしいと願う。

取材・文/なっちゃの

【なっちゃの】
会社員兼ライター、30代ワーママ。世の中で起きる人の痛みを書きたく、毒親などインタビュー記事を執筆。

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