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「タバコの煙が充満するバス」「選手の住所が載っていた選手名鑑」…今では考えられない昭和プロ野球の“常識”

日刊SPA! / 2024年12月3日 8時52分

湯上谷:僕ら若手は「あ〜、またはじまったよ〜」って眺めているだけでした。でも不思議なもので、なんとなく見ているだけでも闘争心が湧いてくるんですよ。プロ野球の試合も戦いですから、士気を高める効果もあったんでしょうね。

――確かに戦いのある映画を観終わった後は、強くなったような気持ちになりますね。

湯上谷:これは推測なんですが、昭和のプロ野球選手の私服って、そういう映画の影響があるような気がします。スラックスにシャツを着て、首元や手首に貴金属ジャラジャラで、セカンドバッグを持つあの感じ。

◆みかん箱の上に立って「度胸をつける練習」

――今ではどの球団もやっていない、当時ならではのトレーニングはありますか?

湯上谷:トレーニングじゃないけど、今考えるとおかしいなと思う声出しはありましたね。センターのフェンス前にみかん箱を置いて、その上に乗って大声を出す。

――なにが目的なんですか?

湯上谷:大観衆の前で野球をするから、度胸をつけるという意味だと思います。ただ、それは建前で、先輩やコーチからの嫌がらせみたいなものでしょうけどね。

――どんな内容を大声で叫ぶんですか?

湯上谷:中百舌鳥(大阪府堺市)にファームの球場があるときは、ライトスタンドの向こう側に団地が見えていたんですが、その団地に向かって叫ばされていました。「団地のみなさ〜ん! 今日はいいお天気ですね〜! 洗濯物もよく乾くでしょう〜!」とか(笑)。

――今なら普通に騒音問題になりますね(笑)。一人一回やらされるんですか?

湯上谷:いえ、ホームベースのところにいるコーチが手で◯(まる)のサインを出したら終わりです。声自体は全部聞こえてると思うんですが、面白いかどうかが基準だったと思います。

――ということは、叫ぶ内容も自分で考えるんですね。

湯上谷:そうです。早く終わるために、大声でコーチを褒めるセリフにする選手や、フェンスによじ登って「ミーンミンミンミーン!!」と蝉のマネをする選手もいましたね(笑)。

◆通勤電車に揺られるプロ野球選手たち

――食事面などについて、今では球団や個人に管理栄養士などがいますね。試合前などは、ビュッフェ形式で食事が用意されている様子もテレビなどで見たことがあります。

湯上谷:南海の頃は、食堂の食券をもらっていました。1試合に500円分(笑)。もちろん、それでは足りないので600~700円のメニューを頼むんですが、超えた分は給料から天引きです。せこいですよね(笑)。

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