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革靴はもはや“絶滅危惧種”。なくなる前に買っておきたい「2つの名品」

日刊SPA! / 2024年12月4日 15時52分

革靴はもはや“絶滅危惧種”。なくなる前に買っておきたい「2つの名品」

写真はトリッカーズ公式オンラインGMT inc.より

―[シューフィッターこまつ]―

こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
皆さんは革靴を履いていますか? 靴に携わってはや20数年。筆者は、いわゆる本格革靴は絶滅すると思っています。もし、「憧れの1足」があるのであれば、至急買っておいたほうがいいとアドバイスします。それはなぜか? ファッションのカジュアル化とともに消費者が圧倒的に「ラク」を選択した結果なのです。

◆本格革靴の需要が激減している

現在の靴業界において、革靴の需要は激減し、すべてスニーカーに置き換わっています。ネクタイと同様に、本格革靴は滅びゆくジャンルだと言っていいでしょう。革靴はつくりの工程が多く、工程にある一社でも倒産してしまうと、ドミノ倒しになります。革自体の生産もSDGsの影響で生産が縮小していることもあり、明日、その革靴工場が存続しているかは誰にもわかりません。

一方、スニーカーの生産は、中国からベトナムやミャンマーへと工場は移っていますが、工程が簡単でマニュアル化されているので、簡単に工場を変えることができます。本格革靴にもマニュアルはあるのですが、専用マシーンを操る職人の技術が必要なので、後継や工場移転が簡単にはできません。いったん失われたものは二度と取り返せないのです。

使う素材も革だけでなく、裁断、加工、縫製と靴にする前の段階の過程が非常に多くあります。歯車と同じで、どれか一つが欠けても革靴はできあがりません。また、革はもちろん、靴の部材はインフレで信じられないくらい高騰を続けています。釘、接着剤に至るまで昨年の2倍、3倍はあたりまえ。本格革靴になれば片足で50パーツ以上はあるので、靴の価格はとんでもないことになります。現状はメーカーや職人、ショップスタッフに至るまで限界を超え、泣いて我慢してつくっているのが実情です。

そういった事情があるため、本格革靴のメーカーはレザースニーカーなど簡易的につくれる靴に商品構成をシフトしています。いいか悪いかではなく、そうしなければ生き残れないからです。象徴的な例として、コロナ以降に、リーガルがレザースニーカーをつくり始めたことが挙げられます。ずいぶん前にキャンバススニーカーはつくっていたのですが、スニーカーへのシフトが明確になった瞬間だと思います。革靴といえば世代をまたいでリーガル、というイメージでしたが、「丈夫で硬くて重い」革靴から「とにかく軽くて柔らかい」スニーカーにシフトしたことは靴業界に衝撃を与えました。ベルルッティなどの「超」がつく高級革靴メーカーも同様です。現在、販売は7割以上がレザースニーカーだと言われています。良し悪しではあく、そういう時代なのです。

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