大量閉店「サンマルクカフェ」が陥った“想定外の事態”。地方と都市部で異なる課題に苦しむハメに――ニュース傑作選
日刊SPA! / 2024年12月15日 8時45分
◆なぜ高い利益率を実現できたのか
サンマルクHDは直営店主体でありながら営業利益率11%と高い収益性を確保していました(19年3月期)。通常の飲食店では一桁台が相場です。そして高い収益性を基に90%以上と自己資本比率を実現し、コロナ禍以前は無借金経営を標榜していました。高い利益率を実現できたのはコーヒーのほか、パンやパスタといった「粉もの」を主体とするためです。飲食店における通常の原価率は概ね30~35%ですが、サンマルクHDのそれは22%しかありません。肉や魚を扱う店舗を展開していれば実現できない数字といえます。
また、セントラルキッチンを持たないビジネスモデル「ファブレス」での展開を基本軸としているのも特色。グループ店舗で提供するパンについては、製パン大手「タカキベーカリー」が提供する冷凍パン生地を使うことで、焼き立てを提供できる体制を取っています。セントラルキッチンでの大量生産で高収益化を狙う他の飲食大手とは異なる体制です。店内調理を基本とすると厨房の負荷が高くなってしまいますが、徹底したマニュアル化で効率化を図っているようです。
◆駅前・SC立地が足かせに…405店舗が333店舗に減少
高利益率を維持していたサンマルクHDも、コロナ禍では大幅に業績が悪化しました。必需性の低いカフェ・レストラン業態であるほか、駅前や商店街、SCなどの商業施設を主な出店立地としていたためです。2020年3月期から23年3月期の業績は次の通りで、特に21年3月期、22年3月期は商業施設の休業や時短営業の影響も受けました。
【サンマルクHD(2020年3月期~2023年3月期)】
売上高:689億円→440億円→477億円→578億円
営業利益:41.6億円→▲40.,4億円→▲35.8億円→2.4億円
売上高(レストラン事業):358億円→233億円→263億円→334億円
売上高(喫茶事業):311億円→195億円→212億円→245億円
総店舗数:932店→864店→839店→793店
主力とするサンマルクカフェの閉店が著しく、20年3月期末から23年3月期末にかけて店舗数は405から333店舗へと減少しています。22年3月期から26年3月期を想定した中期経営計画では当初、不採算店を閉鎖しつつも鎌倉パスタを筆頭にレストラン事業の店舗を増やす計画を発表していました。26年3月期末時点でグループ950店舗という目標です。ただ、不採算店の閉鎖は進んだ一方で、消費活動の回復は当初予想よりも遅く、総店舗数は上記の通り減少し続けています。
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