日本一TVに出るスーパー「アキダイ」が「ロピア」傘下に。買収を受け入れた理由を名物社長が語る――ニュース傑作選
日刊SPA! / 2024年12月16日 8時45分
実際、秋葉社長が’22年に出版した自伝にも、「(買収提案は)すべてお断りしている」と書かれている。この間、どのような心境の変化があったのか。
「やはり、ロピアの社長(高木勇輔氏)に惚れ込んだというのが大きい。アキダイの屋号も残したうえで、『秋葉さんの好きにやってもらえますか』と言ってくれて……。何より、アキダイで育った若い世代のコたちが思う存分活躍する場所が確保されたというのが決め手になりました」
すでに秋葉社長は、アキダイの未来のビジョンも思い描いているという。
「抜群においしいのに後継ぎがいない生産者さんから受け継いだエノキやレンコンなど、いまはアキダイのPBも育てています。今後は1年に3店舗ずつ出して、3~4年後には年商100億円を目指しているので、今後もアキダイを末永くよろしくお願いします」
秋葉社長の飽くなき挑戦はまだまだ続きそうだ。
◆男心をくすぐる戦略を立てるスーパーが増加
バカリズムやカズレーザーらがスーパー巡りを楽しんだり料理に奮闘するテレビ朝日系『家事ヤロウ!!!』が深夜枠からゴールデン帯に移ったのが象徴的だが、コロナ以降、自炊に目覚め自宅で家事をこなす男性は思いのほか多くなった。
「外で飲めなかった時期に『居酒屋デリ』の商品開発を進めたり、つくば市のカスミ『ブランデ』のようにバーを併設する店舗が出てくるなど、差別化を図るスーパーが増加。結果、選択肢が広がり男性客も取り込む形になっています」
こう語るのは『ダイヤモンド チェーンストア』編集長の阿部幸治氏だ。当然、スーパーに求められる顧客のニーズも少しずつ変容しているという。
「“多少値が張っても高品質のもの”を重要視する層は増加の傾向にあります。弁当でいえば、“○○産” “油不使用”など、品質の良さやヘルシーさをアピールするワードがあると、高くても購買意欲をそそられます」
心を引きつけるのは、品質重視の品揃えだけではない。
「仕事帰りの最寄り駅から自宅までの動線上にある、深夜まで営業しているなど、生活スタイルの延長上にあるスーパーが望ましい。そこをうまく突いたのが最近勢力を伸ばしているイオン系の小型スーパー『まいばすけっと』。コンビニとスーパーが融合した形態で、男性客も多いです」
大型店のバラエティに富む商品ラインナップも魅力的だが、男心をくすぐる小規模スーパーが令和の主流となりつつあるようだ。
【アキダイ社長・秋葉弘道氏】
1968年、東京都生まれ。高校1年生のとき八百屋でアルバイトを始める。1992年にスーパーアキダイを創業し、現在は約200人の従業員を抱える。年間300本以上のテレビ取材にも応じる
【雑誌編集長・阿部幸治氏】
『ダイヤモンド チェーンストア』誌編集長。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。小売業に関する情報やニュースをSNSで発信
<取材・文/週刊SPA!編集部>
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