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同じ23歳メジャー挑戦でも…佐々木朗希と大谷翔平の“決定的な違い”。「マイナースタートがちょうどいい」と言えるワケ

日刊SPA! / 2024年12月17日 8時47分

 佐々木が一軍で投げた4年間でチームは3度クライマックスシリーズに出場してはいるが、日本シリーズ進出はなし。そういう背景もあって、この秋にロッテからポスティングが認められた際はSNSなどでファンから大バッシングを受けた。

 しかし、その批判の声もファン感謝デーで行った最後の挨拶を機に徐々に収束。今は激励に近い意見が目立つようになっている。

 そんな佐々木と7年前の大谷に共通しているのが、25歳ルールによって当初はマイナー契約からスタートすることだ。

◆一年目の大谷に対して現地メディアから厳しい声も

 今では想像もつかないが、大谷のエンゼルスでの1年目は実際に開幕をマイナーでスタートする可能性もあった。

 18年春のオープン戦で、大谷は投打ともに精彩を欠き、打っては打率.125、投げては防御率27.00とメジャーの壁にぶち当たっていた。その結果、現地メディアを中心に「大谷はマイナーから始めるべきだ」という声も少なくなかった。

 しかしエンゼルスは開幕直前に大谷とメジャー契約を結ぶ決断を下すと、その後は二刀流選手として新人王を獲得。結局、一度もマイナーの試合に出場することなくフルシーズンを戦い抜いた。

◆佐々木はマイナースタートとなる可能性も

 一方の佐々木も大谷と同じくマイナー契約を強いられる立場だが、こちらはオープン戦のパフォーマンスにかかわらず、開幕をマイナーで迎える可能性もありそうだ。

 もちろん、常時160キロ台の速球と鋭く落ちるフォークは即メジャーで通用するだろう。しかし、ロッテ時代は大事に使われ、休み休み登板していたいわば温室育ち。来季の春先は2か月ほどマイナーで基礎体力の強化に努め、その後にメジャー昇格というシナリオを描く球団があってもおかしくない。

 中長期的に見れば、メジャー登録日数の関係でFA権の取得を遅らせることができる点でチームにも、また雑音をかき消したい佐々木にとっても悪いシナリオではないはずだ。

◆今のマイナーリーグの環境は佐々木にピッタリ?

 また、現在のマイナーリーガーの生活は以前ほど過酷というわけではない。

 コロナ禍前の5年前(19年)と今季を比べると、3Aの最低保証年俸は3倍超に増えており、5年前は自腹で賄っていた食事も今では1日2食がチームから提供されている。また、移動の際もこれまでバス1台だったのが2台に増加。シーズン中の住居も提供されるようになるなど、マイナーリーガーを取り巻く環境は大きく改善されている。

 かつてのようにハングリー精神が育まれる環境とはいえないかもしれないが、温室育ちの佐々木にはちょうどいいともいえそうだ。

 果たして佐々木はどの球団と契約を結ぶのか。そして開幕をメジャーで迎えることになるのか、それともじっくりマイナーで鍛えてから高みを目指すのか。佐々木が選ぶ球団によって自身が描いている未来像も判明するだろう。

文/八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

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