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「趣味:刑務所見学」異色のグラドルが受刑者との文通を始めたワケ。「犯罪者を甘やかしている」という批判について思うことも

日刊SPA! / 2024年12月20日 8時53分

 受刑者と手紙をやり取りすると、こんな“ミニ知識”が次々に舞い込んでくるのだという。

「刑務所のなかで使われる独特の用語があって、一般社会ではわからないものも多いです。たとえば私が文通をして初めて覚えた刑務所用語は、『ガルウィング』ですね。これは、逮捕・連行されるときに羽交い締めにされて連れて行かれる様子を指したものだそうです。興味深いのは、刑務所や拘置所でみんなが楽しみにしている食事の話です。いろいろなアレンジをして食事を楽しんでいるらしくて。たとえばきな粉を水で伸ばしてパンに塗ったり、味噌汁にかっぱえびせんを入れてお麩のような食感を味わっていると教えてくれました」

◆批判の声について思うこと

 知られざる刑務所の内情。究極の“小ネタ”だが、受刑者たちの息遣いが聞こえてきそうでもある。こうした活動について、SNSなどを通して批判の声が寄せられることもあるのだと緑川さんは話す。

「最初に見てしまったのは、ある媒体の取材を受けたとき、SNSで告知をしたところに書かれたコメントでした。犯罪者を甘やかしているのではないか、という内容が批判の主なものです。私は犯罪行為を擁護もしないし、犯罪者を甘やかした事実もありません。ただ、一度過ちを犯した人を社会全体で排除しようとするのはどうなのだろう、という気持ちはあります。もちろん、被害に遭われた方が怒ったり許せないと考えたりすることは理解できるところです。しかし第三者の私たちまで冷静さを失って叩いてしまえば、更生できる人もできなくなってしまいます」

◆更生することは、本人のためだけでなく…

 更生の重要性について、緑川さんはこのように考えている。

「過去に犯罪を犯した人が更生することは、本人のためだけでなく、社会のためでもあると思います。もしも社会が受刑者を永劫許さなければ、再犯を招く可能性があります。そうなれば、被害者は増え続ける。更生は、被害者を増やさないための策でもあると私は思うんです。『社会が寛容であること』と、『犯罪者に甘いこと』は異なります。再び罪を犯す人を少なくして、多くの人にとって安心した暮らしができる世の中を実現することに繋がっているはずです」
 
 緑川さんにはこれからの目標があるという。

「今年は『全国矯正展』に初めて出演させていただき、こうした活動の意義を改めて認識しました。私の地道な活動がほんの少しでも世の中にとって犯罪や人権を考えるきっかけになるとすれば、嬉しいです。そして、更生しようと頑張っている人を世間が少しでも応援する空気になってほしいと心から願っています」

=====

 緑川さんは物怖じしない。おそらく彼女がみている世界に、“悪い人、“怖い人”がいないからだろう。とかく私たちは敵を大きく描き、頭のなかで相手を鬼に化けさせがちだが、果たして本当にそうか。誰しも人から生まれ、対話のできる心を持っているのではないか。異形として石を投げた瞬間に、赦しは遠ざかる。フラットな目線で見渡し、手を差し伸べる建設的な社会のあり方が求められている。

<TEXT/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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