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“ミス慶應2024準グランプリ”の28歳女性が、「もったいない」と周囲に言われても、まずは「高卒で働くことにした」理由

日刊SPA! / 2024年12月23日 8時54分

土川:それはあるかもしれません。特別なにか経験したわけではないのに、死ぬときに「あのときこうしておけば良かった」と思いたくないっていうのがすごくあって。だから進路に関しても、今は高卒で働く方が良いと思ったら実行するし、大学で学びたくなればそうしてきました。そうした選択が自分の納得のいく人生につながっていると思っています。

◆新鮮だった「ミスコンの世界」

――ミスコン応募は、何か思いがあってのことですか。

土川:ちょうど就職活動をしていた時期で、新しい何かを始めたくなったのがきっかけです。それまで、SNSもほとんどやったことがなく、自撮りもしないしインスタ映えするカフェもいかないのでフォルダに写真があまりないような人間でした。ファイナリストに選ばれてからはSNSを中心に写真アップや動画配信を頻繁にしなければならないので、これまで生きてきた世界と違い、新鮮でしたね。出場者の立場からミスコン運営をみる機会もあり、さまざまなことを考えるきかっけになりました。それから、自分のこれまでの経験を活かして取り組めたことで、やりがいを感じました。

◆無理をして大学へ進学する必要はないが…

――かつてあえて高卒を選んだ土川さんですが、次の春に慶應義塾大学を卒業されます。今の土川さんから、大学に入るメリットをあげるとすれば何でしょうか。

土川:私は今も、無理をして大学へ進学する必要はないと考えています。ただ、「やりたいことがないから見つけに行く」という人が大学に進学するメリットは確かにあると感じました。 大学は、授業を受けているうちにさまざまな知識を与えてくれて、知的好奇心を刺激してくれる場所です。そしてバラエティに富んだ友人もできるので、一緒に何かを考えたり議論するのはとても楽しい時間でしたね。  

 Life Compass運営や自分の経歴をSNSで発信していると、「進路で迷っていたけど、“自分軸”で決めようと思えた」と言っていただけることが多いです。それを聞くととても嬉しいですね。 ただ、自分の意見を闇雲に押し通すのではなく、周りの方の意見にも耳を傾けたうえで、最終的に自分で決断することが大切だと思います。 とりあえず決めたなら全力でやってみる。そうすれば、たとえうまくいかなかったとしても学ぶことは多く、自分の人生を生きられると思います。

=====

 人は誰しも時間の経過とともに考え方を変える。あのとき最善と踏んだ手が、現在もなお最善とは限らない。人生はたびたび選択を迫られるが、正解不正解は揺蕩っていて一概にいえない。 

 そう考えると、土川さんは胆力がありながら実に柔軟性に富んでいる。物事を深く考察し、ひとつの考え方に縛られることなく後から“正解”を手繰り寄せる方法を本能的に知っている。 

 来春、土川さんはエンジニア/データサイエンティストの仕事に就くのだという。科学の力によって、多くの人が生きやすい世の中になればと笑った。 

 しがらみに囚われない発想と度胸、何より持ち前の行動力によって、社会の「あったらいいな」に手が届くまでを彼女はきっと突き進む。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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