次の利上げは2025年1月?業界歴35年の人気FPが「今から政策金利1%に備えたほうがいい」と警告する理由
日刊SPA! / 2024年12月23日 8時47分
◆日銀幹部の“踏み込んだ発言”が増えている
日銀の動向を長く見てきた私からしても、数年前と比較して金融政策決定会合に出席するメンバーの発言がかつてより注目されているうえ、以前とは考えられないくらい“踏み込んだ発言”をしているように思えます。
これまでは金融政策を司る審議委員らは、市場関係者などに言質をとられないように発言をするのが基本的な考え方でした。しかし、2024年9月には田村直樹審議委員が「‘26年度後半までには少なくとも政策金利は1%程度くらいまで引き上げておくことが必要だ」と述べています。審議員が具体的な目標数値まで出して発言するのは異例ですし、それだけ本気度が高いと感じられるのです。
実際に、マクロ指標の面で見れば、足元の日本経済はあまり悪くありません。四半期の実質GDPも二期連続で上昇中ですし、消費者物価指数の上昇率も2%台を維持しています。景気はとてもいいわけではないですが、悪くはない状態を維持している。
また、2024年の企業と労働組合が賃金交渉を行う春闘も満額回答となり賃金も上昇しています。2025年の春闘も近い水準で賃上げがありそうです。それらの状況も、「1%程度」という発言を後押ししている格好です。
◆利上げを急ぐ裏にある“2008年のトラウマ”
そしてもう一つ。個人的には日銀が利上げをしたがる背景としてはこちらのほうが大きいと思うのが、「いざというときに利下げができるバッファーを整えたい」という思惑です。これはあくまで私の推測ですが、今後景気が悪化して金融市場のクラッシュが起きたときに、利下げをする“余地”を残しておきたいのだと思います。
金融市場のクラッシュとは、かつてのリーマン・ショックのような出来事です。実はリーマン・ショックが起こる前の2007年に、日銀は福井総裁(当時)のもとで二度の利上げをしていました。政策金利を0.25%から0.5%に上げていて「いつ0.75%まで上げるか?」という議論がされていました。
しかし、三度目の利上げも視野に入れていたものの、その直後にリーマン・ショックが発生し、急速に経済が冷え込んだために再び利下げをせざるを得なくなったのです。しかも、通常は0.25%幅で政策金利を調整するところ当時の政策金利0.5%とかなり低いことから0.15%の利下げを2回という“小刻み”な利下げしかできず、効果も極めて限定的でした。
その経験が、日銀にとって“トラウマ”になっているように私には思えます。政策金利を1%まで上げていれば、もし金融ショックが起こっても0.25%の利下げを4回行うことができますから。
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