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『おむすび』が朝ドラ“史上最低視聴率”を更新しそうなワケ…どの世代にも支持されない理由

日刊SPA! / 2024年12月27日 8時51分

 そもそも50代以上がメインターゲットである朝ドラでありながら、設定を「平成青春グラフィティ」としたのは無理があった気がする。若い視聴者を増やせと大号令をかけていたNHK前会長・前田晃伸氏(79)の意向も酌み取られているのだろうが、視聴者層の異なる朝ドラでは無茶だ。

 しかも若い視聴者もよく観ているわけではない。F1層(女性20~34歳)とM1層(男性同)の個人視聴率はともに0.3%にも達していない。全世代で総崩れなのである。

◆仲里依紗が演じる姉の人物像にも疑問

 魅力に欠けるのはほかの登場人物も同じ。仲里依紗(35)が演じる結の姉・歩は、複雑な女性なのか単純なのかも分からない。

 歩をめぐっての肩透かしのエピソードが連発されたことも視聴者が離れる一因になったと見る。第17回、歩が若き日のギャル時代のライバルである「天神乙女会」の明日香(寺本莉緒)から勝負を挑まれた。

 ただならぬ雰囲気で、決闘が始まることを思わせた。しかし次の第18回で分かった勝負の中身はラーメンの大食い対決。シリアスな内容ではなかったが、ギャグとも思えなかった。クスリとも出来なかったからだ。

 第27回では歩の付き人を名乗る佐々木佑馬(一ノ瀬ワタル)が、米田家の実家がある福岡県糸島市にやって来た。

「歩さんは大女優」なのだという。福岡のテレビ局は東京並みで、7つのチャンネルがあるから、本当に大女優であるのなら家族が気付かぬはずがない。釈然としない話だった。

 大女優のエピソードは第30回まで延々と引っ張られる。オチはカラオケの映像に登場する女優という話だった。そんなことだろうと思っていた視聴者は多いのではないか。やはり笑えなかった。

◆前作、前々作のヒロインと比較すると

 感動が薄いのもこの朝ドラの弱点。前作『虎に翼』では高等試験(現・司法試験)に受かったヒロイン・猪爪寅子(伊藤 沙莉)による熱弁などがあった。「困っている方を救い続けます。男女関係なく!」(第30回)

 前々作「ブギウギ」でのヒロインの福来スズ子(趣里)は、自分の実の父母だと思っていた花田梅吉(柳葉敏郎)とツヤ(水川あさみ)が養父母だと知るが、それを黙っていることにする。梅吉とツヤが自分を我が子同然で育ててくれたからだ。第22回だった。

 朝ドラのファンは感動も求めているから、このままでは今後も浮上は難しいだろう。

<文/高堀冬彦>

【高堀冬彦】
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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