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インバウンド需要で「シニア求人」が急増中。高齢者の活用はオーバーツーリズムの解消につながるのか

日刊SPA! / 2024年12月30日 8時52分

インバウンド需要で「シニア求人」が急増中。高齢者の活用はオーバーツーリズムの解消につながるのか

写真はイメージです

人生100年時代。「人生最後の職場を探そう」と、シニア転職に挑む50、60代が増えている。しかし、支援の現場ではシニア転職の成功事例だけでなく、失敗事例も目にする。今回はシニア専門転職支援会社「シニアジョブ」代表の中島康恵氏が、インバウンド需要によるシニア求人の増加について紹介。「シニア人材の活用によってオーバーツーリズムの解消ができるか?」という点について考えてみる。
◆シニア人員投下でオーバーツーリズムは解消できる?

 昨今はオーバーツーリズム(観光公害)の話題が日常的に報道されるようになっている。以前は訪日観光客が押し寄せる様子は、史跡の多い京都や電化製品などの“爆買い”に象徴される秋葉原などが目立っていた。しかし、現在では都市部から地方まで、高級飲食店から登山の現場まで外国人“だらけ”の様子とトラブルが報道されている。

 こうしたオーバーツーリズムの報道では、主に訪日観光客のルールやマナー違反によるトラブルをいかに防止するか、あるいは過剰な観光客数を受け入れ可能な数に抑制できないかの議論が主流だ。

 一方で、日本の受け入れ体制として人員から設備まで、量・質ともに十分ではないという側面もある。オーバーツーリズムというよりも人口減少や働き方改革の文脈で語られることが多いが、特にホテル・旅館、飲食店や、タクシー、バスなどでの人手不足は極めて深刻だ。

 では仮に、観光や旅客運送に関わる十分な人員体制を整えられたとしたら、オーバーツーリズムを解決することはできるのだろうか? 今回は実際に観光の現場などに多くのシニア人材を紹介している筆者が、シニア人材でオーバーツーリズムを解決できるのかを考察する。

◆急増する飲食関連のシニア向け求人

 実際にインバウンド需要によるシニア向けの求人は、最近、急拡大している。特に多いのは飲食関連の職種だ。観光地の飲食店からホテル・旅館の厨房・レストランまで、調理やホールの求人が多く寄せられる。

 訪日観光客向けに強気の価格設定がなされた、いわゆる“インバウン丼”と呼ばれるメニューが話題を呼んだが、シニア向けの求人を出す飲食店やホテルの中にも、訪日観光客を狙ってか高価格帯のお店が実際多い。

 ほかにもインバウンド需要によるシニア求人への影響は出ている。訪日観光客に人気のメニューを出す外食チェーンのセントラルキッチンなどもそうだが、病院・介護施設の調理にも実はインバウンドの影響がある。インバウンド需要に他の人材が回った結果、病院・介護施設の調理人員が人手不足になり、求人が増えたのだ。

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