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「1時間以上ビンタされ続けたことも」父親から虐待を受け続けた25歳女性。彼女を救った「担任の一言」

日刊SPA! / 2024年12月30日 15時52分

 また、これが「家族の形として世間一般的だと思っていました」ともポツリとこぼす。“自己肯定感”という言葉で、しばしば人の分析がなされることがあるが、彼女は自らを肯定はおろか、否定しかしてこなかった。幼い子どもなら当たり前に受け入れられるはずの「字をきれいに書いた」「母の日の制作物でお母さんを可愛く描いた」「テストで100点を取った」といったことは、努力も空しく「あ、そう。片付けといて」の一言で終わった。

「親から期待に応えてもらったこと……ないですね。両親ともに一事が万事、そんな感じだったので。でもやっぱり、どんなに酷い仕打ちを受けても親なんですよ。私にとって、“認められたい”存在なんです。『もっと上手にできればよかった』『褒められるにはもっと頑張らなくちゃいけない』という気持ちを捨てきれずに、だけどその思いは成就することはなく、理想と現実のギャップに心がバラバラになっていきました」

◆誰にも相談できなかったワケ

 常に他人の顔色を伺い、怒られないように、気に障らないように生きてきた彼女は、その自信のなさゆえにいじめに遭い、他人に利用されたこともあったという。必要とされただけでも嬉しかった彼女の周りに集まったのは、彼女を都合よく使いたいだけの人間で、人から大事にされるという感覚を知らぬまま育った。

「人に助けてもらったと初めて思ったのは中学2年生のときでした。父と母はすでに離婚していたのですが、再婚した継父から3年間性的虐待を受け、学校でも『あいつキモいよね』と言われたり、すれ違いざまに舌打ちされたり……。家庭でも学校でも問題があるなんて、やっぱり自分が悪いんだと思ったし、“誰からも好かれない子”と思われたくなくて、誰にも相談できませんでした。どこにも居場所がなくて、みんなから嫌われていて、こんな自分いなくなればいいよね、と私自身も心底思っていていて……。いっそのこと消えてしまいたいと本気で考えていたんです」

◆救ってくれた学校の先生からの言葉

 このままではどうにもならず、umiさんは「信頼できそうだと思った」という担任の先生に相談することに。当時の担任は女性の先生で、彼女の話一つ一つを受け入れ、「あなたは何も悪くない」と言ってくれた。「先生のこの一言にとても救われました」と、umiさんは続ける。

「誰かに話して、また傷ついたら本当の意味で終わりだと思って相談するのは怖かったです。でも誰かに話さないと自分が何かしでかしてしまいそうで、先生は最後の砦でした。もし今、どこにも相談できないで苦しんでいる子がいるなら、信頼できそうな人を見つけて相談してまずは吐き出してほしいと思います。私はなんとか前を向いて生きているので、希望を見失わずにいてほしいと思います」

 先生はその年度で異動となったが、中学3年生の先生にも引継ぎされ、さらに高校生になった際にも、その学校の先生へ情報が共有されることに。先生とは長きにわたり交換ノートもしたという。

 そして彼女は無事に高校を卒業。その後もさまざまなトラブルがあったが、現在は家族全員と縁を切ることができたようだ。umiさんは最後に「いま孤独でないのは、支えてくれる人に出会い、愛を知ったからです」と笑顔で語った。

 毒親のもとで苦しみながらも、信頼できる人の支えを得て、新しい人生を歩み始めたumiさん。孤独や絶望の中でも、助けを求める一歩が未来を変える可能性に繋がる。社会全体で毒親に苦しむ子どもに目を向け、被害者を支える体制を構築することが必要なのだろう。

取材・文/なっちゃの

【なっちゃの】
会社員兼ライター、30代ワーママ。世の中で起きる人の痛みを書きたく、毒親などインタビュー記事を執筆。

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