歯周病は「放っておけばいい」と思っている人に訪れる悲劇
日刊SPA! / 2025年1月3日 15時52分
※写真はイメージです
歯に痛みが出てくる虫歯に比べて、“歯周病”と言われても「放っておけばいい」と思ってしまうかもしれません。
無症状のまま歯茎が炎症し、歯を支える周囲の骨が溶けていく。そして、気づけば歯がグラグラしてきて、最終的には抜けてしまう。そんな歯周病ですが、私たち歯科医師が歯周病を予防したいと思う理由は、これだけにとどまりません。
歯周病は、最終的にみなさんの全身の健康を脅かす事態になりかねない、本当に恐ろしい病気だからです。今回は歯周病を放置することがいかにマズい状況なのかについてご紹介します。
◆糖尿病×歯周病は“最悪の組み合わせ”
歯周病は、代表的な生活習慣病である糖尿病を悪化させ、治療の妨げになるなど、悪影響を及ぼします。
糖尿病とは、膵臓から分泌される“インスリン”というホルモンの分泌が少ないことや働きが悪くなることで、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。高血糖の状態は、全身の血管に大きく負担をかけ、腎症や網膜症、神経障害などの合併症に繋がります。
歯周病の炎症が長引くと炎症の過程で“サイトカイン”というタンパク質が作られます。このサイトカインは、“インスリン”の働きを阻害するので、血糖がさらにコントロールできなくなってしまうのです。
逆に糖尿病も歯周病を悪化させます。糖尿病患者は高血糖であるため、歯茎の血管は血流が悪くなり、酸素や栄養が充分に行き届かなくなり、歯周病菌に負けやすくなります。また、糖尿病になると全身の免疫力が低下することや、糖尿病の影響で起こるお口の渇きも歯周病菌の働きに負けてしまう原因となります。
実際の診療でも、糖尿病の方の著しい歯周病進行を目にすることがあります。しかし糖尿病患者さんの多くが歯周病との関連性を知らないことが多く、すでに歯周病が進行している状態で来院されることも少なくありません。
◆狭心症や心筋梗塞に罹る危険性が2倍に
歯周病に罹っている人は、狭心症や心筋梗塞にかかる危険性が2倍になるといわれています。
心臓の冠状動脈に動脈硬化が起こると狭心症、心筋梗塞が生じます。動脈硬化は、細菌・ウイルスの感染に深く関わっており、これは風邪などの全身疾患に限定したことではありません。実際、動脈硬化を起こした血管壁から歯周病菌が発見されたことが多く報告されています。
お口の中に潜んでいる歯周病菌ですが、お口の血管は全身と繋がっており、血管の中に入った歯周病菌は全身に広がってしまうのです。
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