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「親子2人で日本にきたけど、ずっと孤独だった」38歳のブラジル人男性が、“トー横と群馬”の往復生活を送るワケ

日刊SPA! / 2025年1月7日 8時53分

◆幼少期から苦しんだ外国人という立場

1990年代、大手企業の製造現場で深刻な人材難が生じ、入管法が改定。それに伴い群馬県大泉町にはブラジル人が大量移住した。隣町である舘林にも少数のブラジル人が移り住んだが、大泉に比べると外国人は少なく、奇異な目で見られて育った。

「両親は俺が生まれてすぐ離婚して、ブラジル人の父親の顔は覚えてない。かあちゃんはブラジル育ちの日系人。4歳のとき、親子2人で日本にきたけど、ずっと孤独だった。友達に何かとイジられ、笑って流しても劣等感は常にあって、夜は泣いてた。俺は日本では“ブラジル人”。ブラジルでは“ジャポネーゼ”。どうすりゃいいんだよって……」

孤独感のあまり悪さをしてしまい、親戚に「根性焼き」をされたこともあった。

「それでも家族を馬鹿にされるのが一番嫌でさ。かあちゃんの日本語がカタコトなのをからかわれるのだけは許せなかった。お前ら、俺のかあちゃんがどれだけ必死に生きてるか知らないだろうって。ブラジルでは食事は卵一つとかパンの耳だけ。かあちゃんはそんな生活を変えようって、身一つで日本に来たんだ」

中高生になると体格が良くなり、いじめは減ったが、地元が窮屈なのは変わらない。20歳で上京し、22歳のときに歌舞伎町でホストを始めた。29歳から男優としても活動し、トップセクシー女優と共演。男優の肩書を生かしてホストに箔をつけていった。

◆親友の死を受けて人生観が変わった

現在、ホストは引退し、男優活動も休止中。水商売をやっているオランダ人の彼女に養ってもらっている身だ。

酒好きでトラブルも絶えない。本人曰く「2年前までは逮捕とかの一線は越えなかった」が、粗暴な振る舞いが増えたのにはきっかけがあった。

「トー横を仕切ってたハウル(’22年に未成年淫行容疑で逮捕後、拘置所で死亡)ってやつがいただろ? みんなのために飯を作って、悩む若者に電話で3時間とか付き合って。あいつの姿を見て、俺、感動したよ。あんなに人のために行動する男は見たことない。なのに逮捕されたらみんな手のひら返し。この世に正義なんかないって絶望したよ」

この日の夕飯はナスや鶏肉などの揚げ物三昧。母親が「サッパリするよ」と大量のフルーツも剥いて出してくれた。

「このコは変わってるから本当に大変だよ!」そう笑いつつ、母親は夕飯を済ますと車で片道2時間をかけてマルコスさんと取材班をトー横まで送ってくれた。別れ際、マルコスさんはこう語る。

「ハウルの代わりは難しいけど、寂しくてトー横に来る若いコに、俺ができることはしてあげたい。“この間はありがとう”ってバイト代握りしめて来てくれるの見ると涙が出るよ。もちろん、そんなの受け取れねぇけどな」

居場所のなさに悩み、トー横に集まる若者たち。孤独を知るマルコスさんだからこそ差し伸べられる手もある。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[突撃ルポ[元不良外国人の自宅]]―

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