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なぜ『ドラゴンボール』のテーマパークが「サウジアラビア」に作られるのか。日本のエンタメ業界が抱える“決定的な弱点”

日刊SPA! / 2025年1月15日 15時53分

こうしたソフトとしての日本のIP人気もさることながら、それに拍車をかけているのが、現在のサウジアラビアで進む開発である。

いま、同国の国土開発は世界的に見ても「アツい」。

例を挙げると「ザ・ライン」は、全長170キロメートル、高さ500メートル、幅200メートルの直線状の高層建築のなかに「街」をまるっと作ろうという試み。イメージ図を見ると、砂漠のど真ん中に、どデカい壁のようなものがずっと続いていて、到底「街」とは思えない。この板の中にすべての都市機能が凝縮されるという。まさに「メガプロジェクト」というのにふさわしい。

この背景には、「サウジビジョン2030」という計画がある。同国は石油に依存した産業体質だが、それは天然資源であるだけに、不安定さが付きまとう。そんな依存体質を脱し、産業の多角化を進めるのがこの計画の目標。

そして、実はこの「サウジビジョン2030」の中核を成す計画の一つが、ドラゴンボールのテーマパークが作られる予定の「キディヤ・シティ」という巨大なエンターテイメントシティの開発なのだ。この街は、サウジアラビアのエンターテイメントの首都として開発される予定で、東京23区の半分ほどの面積に、ゲーミング&eスポーツ地区や、F1世界選手権を誘致する予定のSPEED PARK F1なども入る。観光地需要の創出(加えて、労働市場の確保も)に貢献する予定である。

これらの構想を進めているのが、他ならぬ新日家のムハンマド・ビン・サルマーン氏。そして、「ドラゴンボール」×「観光産業の振興」のマッシュアップが構想されたわけだ。

◆サウジアラビアには「すべてが揃っている」

サウジアラビアがこうした計画を進めることができるのはどうしてだろうか。

テーマパークをはじめとする大規模な開発には、巨大な土地と莫大な予算、そして利権をまとめる強い権力が必要だ。サウジアラビアには、これらがすべてて揃っていると見ることができる。

巨大な未開発の砂漠は、大きな施設を作るのにもってこいだし、豊富な石油産出をバックにした成長を見込んでの投資熱の高まりによって財源は十分にある。くわえて、サルマーン皇太子は強い改革派として知られており、強力なリーダーシップを持っている。

要するに大規模開発に必要な素地が揃っていて、そこにサウジアラビア国民が好む日本のIPが結びつき、今回のパークの構想が生まれた、というわけだ。

◆「ハード」よりも「ソフト」が強いのが日本の特徴

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