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イオン、ドンキによる買収合戦の結末は…大手小売り各社が「西友」を手に入れたい理由

日刊SPA! / 2025年1月23日 8時53分

◆大胆な再建策により、3年ほどで目標を達成

 KKRは買収後の2021年に新たな経営体制を敷きました。代表取締役社長に就任したのが大久保恒夫氏。成城石井の社長やセブン&アイ・ホールディングスの取締役などを務めた小売業界の敏腕経営者です。

 西友は2021年8月に本部社員約200人の希望退職者を募集するなど、大胆な再建策を打ち出しました。このときに営業利益を2倍にする目標を掲げます。

 連結で見た場合の西友の2023年度の営業利益は315億円。2021年度は162億円でした。KKRが買収して経営改革に乗り出してから、わずか3年ほどで目標を達成したのです。

 新体制になった西友はデジタル化を進め、業務プロセス・データ活用基盤の構築を行っています。これを活かして、生産・原材料にまで踏み込んだ商品調達・商品開発を行い、販売力を高めて利益を生み出す戦略を打ち出しました。

 つまり、商品力を高めて安売りからの脱却を図ったのです。

◆「安売りからの脱却」は正解だったのか

 実はこの戦略の変更は、消費者の意識に負の兆候として表れています。リサーチ会社マイボイスコムは、大手スーパーのブランド調査を行っています(「【大手スーパーのブランドイメージに関する調査】」)。

 2023年5月の調査において、「価格が最も魅力的だと思う大手スーパー」の回答で、西友と答えたのは12.0%。KKRが買収する前の2020年5月は15.5%でした。3.5ポイント低下したのです。

「最も品質がよいと思う大手スーパー」で西友と答えたのは、2023年5月の調査は4.1%で、2020年5月は4.6%。もともとの比率が低いうえに、数字が下がりました。

 それに加えて、「最も品揃えが充実していると思う大手スーパー」における西友の比率はわずか3.5%。こちらも2020年5月の調査から0.5ポイント数字を落しました。

 西友は安さを武器にして展開し、消費者からの支持を得ていました。しかし、その方針を改めたことによって、ブランドへの意識が変化していることを示しています。品質や品揃えに好意を持つ人の比率も高まっていません。

 つまり、今の西友は消費者がブランドの変化に気づき始めたタイミングであり、買収する会社は価格に見合った商品力をつける努力や、再び安売り戦略を仕掛けるなど、何らかの中長期的プランを策定し、それを粘り強く実施する胆力が必要とされる可能性が高いのです。

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