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2月1日から“1400円”に値上げ…QBハウスは“1000円カット市場”で今や割高。勝負を左右する「価格以外の要素」

日刊SPA! / 2025年1月30日 8時53分

 業績を支えていたのが値上げ。2022年3月にシニア価格1100円を終了。2023年4月に1200円から1350円に改定していました。今年2月1日には1400円なります。今回の値上げは今期の増収計画に大きく寄与するでしょう。

 2024年6月期の退職率は7.3%(前期は10.6%)に改善しました。正社員数は1696人から1810人に増加しています。価格改定で店舗の収益性は上がり、人材不足は解消されつつあるのです。

◆メインターゲット「中高年の男性」をどう掴むか

 キュービーネットは、店舗数の拡大へとアクセルを踏み始めました。今期の国内店舗は563から585へと増加する見込み。22店舗の純増です。

 ただし、度重なる値上げでQBハウスの価格競争力は薄れています。競合のサンキューカットは1300円(フランチャイズ店もあるため、一部店舗は価格が異なります)。カットファクトリーも店舗によって価格にはバラつきがあるものの、1200円から1300円が中心。クイックカットBBも同様です。1000円カットと呼ばれる市場において、今やQBハウスは割高になりました。

 低価格ヘアカットは、中高年の男性をメインターゲットにしています。この層の多くは、自宅から近い場所で、安く、分かりやすい料金でサービスを受けることを特に重視しているためです。

 QBハウスは今期から出店攻勢を強めようとしていますが、それによって競合店とエリア被りが生じた場合、メインターゲットは安い店に流れる可能性が高いことを示唆しています。

◆「電子カットカルテ」で仕上がりをコントロール

 QBハウスは価格以外の要素で差別化を図らなければならず、その種まきはすでに行っています。その一つが質の均一化。

 低価格ヘアカットチェーンを複数回利用した際、同じブランドでも店舗によってサービスや技術にバラつきがあると感じた人は多いかもしれません。これは担当者が異なるので当然ではありますが、利用者側からするとブランドの信頼感が下がる要因になります。

 QBハウスは2021年に「QB Passport」を開始しました。これは店舗の予約や決済ができるアプリですが、機能の中に電子カットカルテがあります。これは、いつものヘアスタイルをアプリ内に登録できるというもの。担当者は顧客からの抽象的な指示に従うのではなく、仕上がりをイメージしながら仕事ができます。会社にとっては質をコントロールできるのです。

 また、顧客はどの店舗でも「いつもの」という感覚で注文ができます。男性はヘアカットのオーダーが苦手だと感じる人が多く、ターゲットにフィットしたサービスだと言えるでしょう。

 国勢調査によると、全国の理美容業に従事する人の平均年齢は61.4歳。個人店が多いうえに高齢化が進んでいるため、中高年の男性の馴染みの店が中長期的に消失することは避けられません。今後、QBハウスはその需要を獲得することになるでしょう。

 サービス力を上げることができれば、常連客の獲得に弾みをつけることができます。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

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