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【広岡達朗】日本の優秀な選手が、毎年ポスティングで“メジャーに引き抜かれる”現状は我慢ができない

日刊SPA! / 2025年2月1日 15時54分

◆日本はメジャーを支えるマイナーリーグになった

 選手の立場になれば、アメリカはおいしい職場である。私も生涯プロ野球一筋で、サラリーマンの経験はない。現役時代の短いプロ野球選手が引退後の長い余生を考えれば、少しでもいい条件の球団に移りたいのはよくわかる。

 マスコミでは「いまよりもっと成長させてくれる舞台」とか、「世界一の野球に挑戦してみたい」とかいう選手の夢や希望の言葉があふれている。しかし、こんなきれいごとだけが大リーグを目指す動機だろうか。その本音に、大リーグの球団が提示する日本とはケタ外れの複数年・高額条件の魅力がないとはいえないだろう。

 まして「10年総額1015億円」のほとんどが「10年契約終了後の後払い」という大谷とドジャースの仰天契約が象徴するプロ野球の日米格差が、引退後の野球年金もない日本人選手の夢をかき立てていないはずがない。

 だが、ドルで頬をひっぱたかれて人気選手を次々に引き抜かれる日本の野球はどうなるのか。たしかにカネは大事だが、取引は選手も日本の野球界も、どちらも平等で幸せにならなければおかしいだろう。

 選手のためにはいい条件でも、常に日本野球の将来を考えてきた私の立場から言えば、毎年日本の優秀な選手がポスティングでメジャーに引き抜かれる現状は我慢ができない。いまに始まったことではないが、これでは日本のプロ野球はどうなるのか。球界を代表するような優秀な選手が毎年、高額の条件で渡米するようでは、日本のプロ野球はアメリカのマイナーリーグ、3Aになってしまうだろう。

 いや、もうすでにそうなっている。

◆コミッショナーは球界の未来を守る戦略を示せ

 日本人選手が大リーグで活躍するのはうれしいことだが、最近のように日本からポスティングで渡米した選手が、投手も野手もすぐに活躍しているのを見ると、戦後巨人の一員として毎年のように大リーグの選抜チームと対戦し、ケタ違いの力の差を見せつけられた私には、日本野球の進化とともに、大リーグの地盤沈下を感じずにはいられない。先述の藤浪のケースを見れば、私の偏見ともいえないだろう。

 こうしたいびつな日米野球関係を見るにつけ、日本の球団フロントとそれを統括するコミッショナーは何をしているのかと思う。グローバル化のなか、「若い選手の大リーグ志向」に寛大で、背中を押すだけでいいのだろうか。

 これでは日本のプロ野球創立者で巨人の初代オーナー・正力松太郎さんの「大リーグに追いつき、追い越せ」の悲願は永久に実現することができないだろう。

 日本野球のアイデンティティと将来のために、コミッショナーは先頭に立って日米共存共栄の対策と戦略を示すべきだ。

 あらためて言う。大谷、山本、佐々木のドジャース入りを頂点として、日本野球の戦力が続々と流出するいまほど腹立たしいことはない。

<TEXT/広岡達朗>

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