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【広岡達朗】勝負の真理を無視したCSはやめるべき。上位3チームが短期間の「敗者復活戦」を行ってどうするのか

日刊SPA! / 2025年2月2日 15時54分

 ロッテファンは当然「下剋上の大逆転」というだろうが、巨人は1勝の差でリーグ優勝を勝ち取り、日本シリーズに進出した。「1勝は1勝」という言葉があるが、巨人のペナントレース最終戦の1勝には長いシーズンを積み重ねた重みがある。

 2024年も、4年ぶりにリーグ優勝した巨人がCSで3位のDeNAに敗れたが、私は日本シリーズの出場権があるのは、ペナントレースを勝ち抜いたチームだと思っている。短期決戦の敗者復活制度の勝者は、リーグ代表とは認めない。

 だから勝負の真理を無視したCSはやめるべきだと思っている。コミッショナーが日本野球の将来のために、オーナー会議を説得して改革に取り組んでもらいたい。

◆コミッショナーに立ちはだかる「オーナー会議」

 しかし問題なのは、コミッショナーがプロ野球の将来のためにどんなに改革を目指しても、各球団の利益を優先するオーナー会議という大きな壁があることだ。

 そもそもコミッショナーの任期は2年だが再任は無制限で、本人が辞めると言わない限り、任期中に正当な理由なく解任されることはない。

 以前の「日本プロフェッショナル野球協約」では、その職権は「日本プロフェッショナル野球組織を代表し、これを管理統制する」ことで、「コミッショナーが下す指令、裁定、裁決ならびに制裁は、最終決定であって、この組織に属するすべての団体と個人を拘束する」とされていた。

「野球最高の利益を確保するために、この組織に属する団体あるいは個人に指令を発することができる」コミッショナーは、プロ野球界の最高裁長官であることを野球協約が保証していたのだ。

◆コミッショナーに改革の権限を与えよ

 ところが1951(昭和26)年の制度施行以降、意欲的に球界改革に取り組んだのは1979(昭和54)年に就任した第7代・下田武三コミッショナーだけといっていい。外務事務次官や最高裁判事などを歴任した下田さんが先頭に立って実現した改革の一部は次の通りだ。

・「飛びすぎるボール」の飛距離を測定し、メーカーに反発力を落とすよう要望して1981(昭和56)年に従来のボールに戻させた
・1984(昭和59)年、日本の野球応援はうるさいとして「応援倫理三則」が定められた
・公式戦が行われる可能性のある球場を新設・改造する場合、野球規則に定められた広さに統一させた
・日本シリーズでセ・パ両リーグの条件を公平にするため、1985(昭和60)年からの指名打者制度の導入を決めた
・関東と関西に集中していたフランチャイズの全国分散化を提唱。退任後、福岡ダイエーホークス(現・ソフトバンク)や北海道日本ハムファイターズ、東北楽天ゴールデンイーグルスなどの発足や移転が実現した

 ただ、下田さんの意欲的な球界改革は球団経営優先のオーナーたちに歓迎されず、1985年に退任。歴代のコミッショナーで最も仕事をした下田さんだが、野球界に貢献した人物を顕彰する野球殿堂入りは果たしていない。

 長年、私が著書やコラムで書いてきた主張や提案についても、歴代のコミッショナーは「改革したくても我々には権限がないからね」と言葉を濁す。オーナー会議は、最高責任者であるコミッショナーに必要な権限を与え、下田さんのようにバリバリ仕事をしてもらうべきだ。

<TEXT/広岡達朗>

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