「働いて×4」を掲げた高市政権の早期解散。「新年度予算の成立は後回し」の決断に有権者は?
日刊SPA! / 2026年1月21日 8時51分
写真/産経新聞社
1月5日の年頭会見で高市首相は「目の前の課題に懸命に取り組んでいる」と話したが、情勢調査で単独過半数獲得の可能性は十分と判断し、早期解散に舵を切ったとされる。対する野党は立憲・公明合流というウルトラCを繰り出した。国民民主が選挙協力に応じれば選挙情勢は大きく変わりそうだ。
ジャーナリストの石戸諭氏は、「有利な情勢での早期解散ほど、党利党略が見えた瞬間に有権者が一気に冷める危うさがある」と指摘する(以下、石戸氏の寄稿)。
◆早期解散の決定に有権者は?
世は一気に総選挙モードである。1月9日夜に読売新聞が打った解散検討スクープから流れは加速した。15日には立憲民主党と公明党が新党「中道改革連合」を結成するというサプライズを打ち出してきた。このタイミングで、改めて問わなければいけないのは解散をめぐる常識である。
日本は他国と比べても極めて自由に議会の解散ができる国だ。批判もあるが、憲法第7条に内閣の助言と承認による天皇の国事行為の一つとして衆院解散が記されており、歴代内閣はここを根拠にした解散をしてきた。立命館大学の小堀眞裕氏の比較研究によれば、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち政権の自由裁量で解散ができる国のほうが少数であり、さらに日本は党利党略での解散に批判が高まらずに常識化した。その意味では突出して“ユニーク”な制度と言える。
前回の衆院選から1年3か月しかたっていないにもかかわらず、高い内閣支持率、野党の準備不足を背景に有利だからと不意を突いて解散する──。選挙に勝てば「みごとな決断で、地盤を固めた」と評されるのだろうが、私は解散権の恣意的な運用には批判的な立場をとる。通常国会での議論を経て政権の成果や方向性を打ち出したほうが、国民に信を問うべき課題は明確になるだろう。「働いて×4」と政策実現を第一に掲げた内閣ならばなおさらだ。
◆安倍政権との明確な違い
加えて、この手の解散劇は与党支持者や政治通には興奮を与えるが、ごく一般的な有権者をしらけさせる。例えば、’17年に安倍首相はモリカケ問題の追及をかわすかのように電撃解散を打ったが、投票率は53%だった。党利党略が透けて見えると有権者の関心が低下することを示唆する。その意味では新年度予算の年度内成立を後回しにするような解散でいいのか、という声がどこまで高まるかが高市政権の今後を左右すると読む。
安倍政権は低投票率であったがために組織力の強みを最大限に生かし、無党派を取り込む選挙戦を展開できた。だが、公明党という最大規模の組織票と選挙実務集団を失った高市政権はより多くの支持を調達しなければならない。具体的にはここ数年、国民民主や参政党を支えてきた現役世代、さらには無党派層の票を取らなければ勝利は見えてこない。逆に低投票率となれば、票は多くの党に分散して今度は組織力を持つ──そして選挙に行く高齢層の支持もある──立憲・公明の中道改革連合の追い風にもなる。
有権者の関心と熱量を味方にしなければいけない政権による、熱量を下げかねない決断がどうでるか。短期決戦の隠れた、しかし重要な争点だ。
<文/石戸諭>
【石戸 諭】
ノンフィクションライター。’84年生まれ。大学卒業後、毎日新聞社に入社。その後、BuzzFeed Japanに移籍し、’18年にフリーに。’20年に編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞、’21年にPEPジャーナリズム大賞を受賞。近著に『「嫌われ者」の正体 日本のトリックスター』(新潮新書)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「高市フィーバー」でも「右傾化しているから」でもない…中道が118議席減の"壊滅状態"に陥った最大の要因
プレジデントオンライン / 2026年2月12日 16時15分
-
自民大勝はない、創価学会の動きは侮れない 「選挙の神様」久米晃さんの衆院選予想
J-CASTニュース / 2026年1月28日 17時0分
-
マクロスコープ:衆院選あす公示、勝敗左右する与野党の強みと弱み
ロイター / 2026年1月26日 12時56分
-
2月8日投票の総選挙で考えられる3つのシナリオ
東洋経済オンライン / 2026年1月24日 13時30分
-
高市解散は「党利党略」「醜態隠し」、日本の政局の行方に中国メディアが強い関心
Record China / 2026年1月23日 11時0分
ランキング
-
1広島地検検事の自殺、遺族が国と和解 父親「不適切な指導なくして」
毎日新聞 / 2026年2月13日 21時27分
-
2アパホテルグループ創業者で会長の元谷外志雄さん死去、82歳 後日、お別れの会を予定
スポーツ報知 / 2026年2月13日 20時18分
-
3「悪質極まりない」危険運転認め懲役20年 群馬・伊勢崎 親子3人死亡事故
テレ朝NEWS / 2026年2月14日 2時26分
-
4【独自】『お前は参政党員なのか?』オレンジ色の帽子で誤認され…「しばき隊」名乗るグループからの暴行で肋骨骨折 被害届提出し大阪府警が捜査
MBSニュース / 2026年2月13日 17時30分
-
5網走市議が衆院選二重投票試み 「不正防止機能の確認目的」
共同通信 / 2026年2月13日 21時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする

エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
