イラク戦で見えた選手交代の難しさ

スポニチアネックス / 2017年6月20日 9時1分

イラク戦の後半、負傷退場するDF酒井宏

 【大西純一の真相・深層】6月13日のサッカーW杯ロシア大会アジア最終予選のイラク戦で、日本は1―1で引き分けた。前半8分に大迫が決めて先制し、いいリズムで試合を進めたが、後半26分にGKとDFの連係ミスから追いつかれた。

 この試合で痛感したのは「選手交代の難しさ」だった。日本は追いつかれる直前、右サイドバックの酒井宏と左MF久保が足を痛めたようなしぐさを見せていた。

 サッカーでは故障者が出たらすぐに選手を代えて“穴”が空かないようにする。動けない選手やピッチ外で手当を受けている選手がいて10人になると不利になるからだ。特に最終ラインは常にほころびができないように保つ必要がある。最終ラインで退場者が出た場合は、連係やリスク回避を考慮して攻撃の選手をベンチに下げてDFを入れ、守備の陣形が極力崩れないようにする。DFが本職ではない選手を後ろに下げると、連係などで日頃やっていないことからミスが出る可能性があるからだ。交代枠が残っていない場合に足を痛めたりけいれんさせた選手が出た場合は、動けなくなった選手を前線に上げて残し、走れる選手を後ろに下げて対処する。

 この試合で日本は後半17分に井手口が脳振とうを起こしたために今野と交代、24分にも原口と倉田を交代させていた。残り時間が20分以上あって交代枠は1。ハリルホジッチ監督は2点目を取りに行くために戦術的な交代も考えていただろうし、1―0で逃げ切るためのプランも持っていたと思う。

 さらに、GKが故障する可能性を考えて、なるべく交代枠は残しておくというのもセオリーで、3人目は引っ張りたいもの。久保の状態も気がかりで「酒井宏と久保のどっちを代えるか」と、ベンチが躊躇したのかもしれない。だが、ここは「後ろ優先」「迷わず迅速に」の原則にそって、酒井宏をすぐに代えるべき。そうすれば、防げた失点だったかもしれない。

 25年前、オフトが日本代表監督になったとき、「故障者や退場者が出たときは、迷うのがいちばんいけない。代えるなら1秒でも早く」と言っていたことを思い出した。ここで失った勝ち点2が悪い方へ影響しないことを祈るばかりだ。 (専門委員)

 ◆大西 純一(おおにし・じゅんいち)1957年、東京都生まれ。中学1年からサッカーを始める。81年にスポニチに入社し、サッカー担当、プロ野球担当を経て、91年から再びサッカー担当。Jリーグ開幕、ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、W杯フランス大会、バルセロナ五輪などを取材。

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