IOC対ロシアの全面対決 落としどころはどこにあるのか

スポニチアネックス / 2017年12月8日 10時1分

記者会見するIOCのバッハ会長

 【藤山健二の独立独歩】国際オリンピック委員会(IOC)は5日の理事会で、平昌五輪からロシアの選手団を除外することを決めた。ドーピングの不正を理由に選手団全体を排除するのは初めてで、ドーピング追放へのIOCの強い意思を内外に示す形となった。これに対しロシア国内では激しい反発が広がっており、事態収拾への道筋は一向に見えてこない。

 世界反ドーピング機関(WADA)の調査によって、ロシア国内で大規模な不正が行われていた事実はすでに明らかになっている。悪質な手口からして、国家レベルでの関与があった可能性も極めて高い。IOCやWADAはロシアが公式にその事実を認めさえすれば平昌への参加を認める意向だったが、ロシアは拒否し続けた。絶対に認めることができない理由があるからだ。

 旧ソ連時代からロシアの政権は、スポーツを国威発揚に最大限利用してきた。政権の求心力を維持するためには外交でも軍事でも、そしてスポーツでも常に強い国家が必要であり、ドーピングはそのための手段の一つに過ぎなかった。当然、薬物使用に対する啓発も日本や欧米のようには行われず、選手の罪悪感も少ない。国家の指示で、それが正しいと信じて従ってきた選手たちに対し、今さら「間違いだった」と謝罪することは即、政権の崩壊を意味する。ましてや来年3月には大統領選が控えている。国内事情を考えれば、今ここで不正を認めることなどできるはずもない。

 では、いったいどうすれば事態は収拾へと向かうのか。2日間の理事会を終えたIOCのバッハ会長は「彼らが我々の決断を順守するなら閉会式にロシアとして参加できるし、それが再出発になるだろう」と話した。つまり、ロシアが素直にIOCの決定に従い、ボイコットなどというばかげた対抗措置を取らなければ、閉会式前にロシアオリンピック委員会の資格停止を解除してもいいですよ、ということだ。もちろん、大前提となるのは個人参加の選手たちが一人もドーピング検査で陽性にならないことで、もし一人でも違反者が出れば今度こそロシアは永久に五輪から追放されることになるだろう。確実にクリーンだと自信を持って送り出せる選手が何人いるのか、個人参加の人数を見ればロシア国内における不正の広がりが分かるかもしれない。

 大国ロシアの不参加はIOCにとっても決して望ましいことではない。イメージダウンは避けられないし、何より収入が減るのは大きな痛手のはずだ。だからこそ、IOCは厳しい処分と同時に関係修復へのシグナルも送った。後はロシアがその真意をきちんと理解できるかどうかだ。平昌の閉会式で再びロシア国旗が掲げられるのか。2年後の東京のためにもしっかりと見極めたい。(編集委員)

 ◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。

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