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五輪マラソン史上最難関コース “走って”みたら高低差、石畳、急坂…日本勢も警戒する難所は

スポニチアネックス / 2024年6月12日 5時33分

スタート地点のパリ市庁舎と試走使用した電動自転車

 パリ五輪のマラソンの舞台は五輪史上最難関コースと称される。パリ市庁舎をスタートしてベルサイユ宮殿で折り返し、エッフェル塔を見ながらゴールを目指す。観光名所を巡る壮観な景色とは対照的に、最大高低差156メートルの過酷なアップダウンや、硬く、走りづらい欧州特有の石畳もランナーにダメージを与える。2時間37分3秒の自己記録を持つ本紙記者が電動アシスト自転車で42・195キロを走った。 (木本 新也)

 気温12度、天気は曇り。五輪本番と同じ午前8時にオリンピックシンボルに彩られたパリ市庁舎を出発した。自己ベストは14年東京マラソンで記録した2時間37分3秒。現在も月間150キロ前後を走るが、右膝痛のため走ることは断念した。相棒はレンタルした電動自転車。ペースは世界記録と同じ1キロ2分51秒に設定した。

 オペラ座、ルーブル美術館など序盤の5キロで多くの名所を通過。ブレイキン、スケートボードなどの会場となるコンコルド広場では仮設スタンドの建設が進んでいた。中心街は石畳が多く、何度も凸凹にハンドルをとられそうになる。ランナーは下半身への負担に加え、足をひねるリスクも増す。数時間前まで降っていた雨の影響で路面はスリッピー。本番も雨なら転倒者が続出する危険性がありそうだ。

 14キロ付近から最大の難所を迎えた。約6キロ続く上り基調の中に小刻みな下りが入る。序盤のような名所はなく、代わり映えしない景色。12キロ地点で電動自転車の充電が切れて1キロ6分ペースまで減速したこともあり、実際の距離より長く感じた。この間の高低差は156メートル。その後は下り基調となり、23キロ地点のベルサイユ宮殿で折り返した。28キロ付近からは約900メートルの急坂。上り終えると約2・5キロを一気に下った。

 ラスト10キロはほぼ平たん。エッフェル塔が視界に入ってくることもあり、切り替えはしやすい。終盤のスピード勝負では持ちタイムの速い海外勢が有利。大迫ら日本勢がメダルの可能性を高めるには、28キロ付近の急坂までに仕掛けるのが得策だろう。1789年にパリの女性が中心となって劣悪な食料事情に反発した「ベルサイユ行進」から着想を得たコース。1ユーロ=170円超の円安と物価高で厳しい食生活を強いられたフランス出張中の思いを重ね、ナポレオンが眠るゴールに飛び込んだ。

 タイムは3時間12分45秒。10キロ通過は世界記録を上回る28分10秒も、中盤以降は重い自転車とアップダウンに苦戦した。8月のレースとなれば酷暑によるスタミナ消耗も激しさを増すだろう。厳しい上りで知られる92年バルセロナ五輪のマラソンコース「モンジュイックの丘」、16年リオ五輪の海沿いの周回コースを走った経験があるが、タフさはパリの方が格段に上。選手は史上最も過酷な“観光”を強いられそうだ。

 ◇木本 新也(きもと・しんや)滋賀県出身の46歳。明大サッカー部出身。01年に入社し静岡支局勤務を経て、04年から本紙サッカー担当。W杯は10年南アフリカから3大会連続で取材した。19年から五輪担当となりバスケットボール、テニス、競泳などを取材している。2児の父。

【日本勢も警戒 前田「足には絶対くる」】

 五輪本番のコースを試走した日本勢からは、厳しいレースを予想するコメントが相次いだ。昨年10月のMGCで出場権を獲得した男子の小山、赤崎、女子の鈴木は翌11月にパリを訪れた。小山は「日本では比較できるところがないぐらいの起伏。とてもきついレースになる」と振り返った。赤崎も「16キロからのアップダウンは起伏が凄い中で29キロ付近に600~800メートルぐらいの坂がある。斜度も高いので、そこでどれだけ振り落とされないように走るか」と展開を思い描いた。

 昨年12月~今年3月のMGCファイナルチャレンジ後に試走した女子の前田、一山は別の日程で試走。日本記録保持者の前田は「実際にコースを見たときに予想以上に起伏が激しく、足には絶対くるだろうと凄く感じた」と印象を語る。過酷な本番のレースを想定し、それぞれの選手が国内外の起伏の激しいレースや高地トレーニングなどを活用しながら準備を進めている。

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