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「虎に翼」留学生役のハ・ヨンス 「ジョジョ」で日本語勉強 初の日本ドラマで「演技が好きと気づいた」

スポニチアネックス / 2024年6月14日 7時31分

笑顔を浮かべるハ・ヨンス(撮影・望月 清香)

 女優のハ・ヨンス(33)がNHK連続テレビ小説「虎に翼」(月~金曜前8・00)で注目を浴びている。伊藤沙莉演じる主人公の明律大学の同級生・崔香淑(さい・こうしゅく)役。丸眼鏡がトレードマークの朝鮮半島からの留学生を繊細に演じている。2年前に活動の拠点を日本に移したヨンスは、日本で新たなキャリアを切り拓いている。(望月 清香)

 「日本語でのインタビューは本当に難しいので、いつも緊張しています」。不安げな表情とは裏腹に語り口はとても滑らかだ。2年前に勉強を始めたとは思えない。アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」をシャドーイングして日本語を覚えたという。好きなキャラクターを聞くと、固かった表情が一変。「空条徐倫が好き」と笑みを浮かべた。

 日本の作品に出演するのは今作が初めてとなる。「“私で本当にいいんですか?”という気持ちで、すごく心配だった。だけど、やるしかない。命を懸けてやろうと思った」と、大きな決意で臨んだ。

 香淑は法律を学ぶために朝鮮半島から日本に留学。初めは物静かだったが、主人公たちと学ぶ中で徐々に変化していく。第6週「女の一念、岩をも通す?」では、女子部新入生募集中止に対して怒りをあらわに。「あと1年待ってほしい」と土下座した。ヨンスは「心の中に情熱があるところやピュアなところが魅力的なキャラクターだと思います」と語った。「家族も友達も何もいないところでゼロから始めているところは同じです」。異国で弁護士を目指す役柄に自身を重ねた。

 香淑は戦況の悪化によって帰国。第11週「女子と小人は養い難し?」で汐見圭(平埜生成)の妻・汐見香子(きょうこ)として、5週間ぶりに登場した。香淑は2つのアイデンティティの狭間で悩み、葛藤していく。「韓国は結婚しても名字が変わることはない。名字が変わるってどんな気持ちなんだろうと思った。両方の国に愛情があるけど、きっと色々な苦労があったと思います」と思いを寄せた。今後に向けて、「なぜ弁護士を目指したのかに気づいて、少しずつ変わっていくところがある」とアピールした。

 ヨンスだからこそ、表現できたことがある。それは座り方だ。香淑は主人公たちといる時は正座をしているが、家で兄といる時は右膝を立てている。「分別をしたいと思って、自分で提案しました」と明かした。立て膝は「両班(ヤンバン)座り」といい、韓国の女性の伝統的な座り方だという。韓国出身ならではの細やかな気付きが、作品に重みを与えている。

 今作は、ヨンスの役者人生の中で大きな転機だ。「今まで演技をピュアに楽しいと思えなかったけど、日本語で演じる大変さを乗り越えた時に、楽しいと思えた瞬間があった。演技が好きだと気づいちゃった」。充実感いっぱいに振り返った。

 これから挑戦したいことを聞くと、食い気味に「チャンスがあれば何でも出たい。本気です」と答えた。マネージャーによると完璧主義な性格で、今も日本語の勉強を欠かさないという。「どこまでできるか自分でも分からないけど、何でも一生懸命頑張る覚悟です。俳優として恥ずかしくない人になりたい」。瞳には香淑のような強い意志が感じられた。ヨンスは新天地で無限の可能性の翼を広げた。

 <現場でも仲良し魔女5>「魔女5」と呼ばれている女子学生5人組。ドラマの学生時代同様、演者同士も和気あいあいとしているという。ヨンスは「沙莉ちゃんは私が好きな『クレヨンしんちゃん』のおもちゃをサプライズでくれた。皆さん本当に優しくて、ちょこちょこ泣きました」と明かした。

 ◇ハ・ヨンス 1990年10月10日生まれ、韓国・釜山出身の33歳。13年に映画「恋愛の温度」でデビュー。「リッチマン、プアウーマン」の韓国版リメイク「リッチマン」で主演。韓国で多数のドラマ、映画に出演した。趣味は油絵。身長1メートル60。血液型B。

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