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置かれた場所で咲き誇る鈴木大地が我々にまた笑顔をくれた

スポニチアネックス / 2024年6月18日 13時44分

13日の巨人戦6回無死一塁の場面で送りバントを決める鈴木大地(撮影・篠原岳夫)

 【君島圭介のスポーツと人間】2019年7月のコラムで「ふてくされる暇があるならロッテ・鈴木大地を見た方がいい」と書いた。

 チームの状況で理不尽なまでに何度もポジションを奪われ、コンバートを求められ、それでも腐らず、大きくない体で「可能性が1%でもあるならどこのポジションでも挑戦しようと思った」と一塁守備までものにした。

 新しい場所で輝き、そして結果を出し続ける。そのコラムで私は「学校で、職場で、理不尽な扱いに不満を募らせる人は多いと思う。もしも今の状況が嫌になってしまったという人がいたら、球場に足を運んで鈴木大地の背中を見ればいい。きっと元気をもらえるはずだ。そこには幸運の“ナンバー7”が輝いている」と書いた。繰り返すがもう5年も前だ。

 当時、鈴木大地はこんな話をしてくれた。「これからもっと苦しい思いをすると思う。でも、そのための準備はしてきた。今日一日を全力でやるから大丈夫」

 2024年、我々はまた「背番号7」に心を揺さぶられ続けている。ユニホームはクリムゾンレッドに、舞台は楽天モバイルに変わったが、鈴木大地はいまも全力で輝いている。

 元西武監督で評論家の辻発彦氏は交流戦をきっかけに楽天が浮上した理由に鈴木大地の4番起用を挙げた。「1番、2番を打つ選手はいたけど、4番がいなかったから」。

 浅村栄斗、島内宏明の主軸2人がまさかの不振。シーズン始まるとき、スコアボードに「4番・鈴木大地」が表示される日が来るとは思わなかった。正直に言って、彼の役割は代打の切り札と思っていた。いや、そもそも若手へ切り替える時期が来たチームに居場所はあるのかとさえ思っていた。

 最高にいい意味で予想を裏切ってくれる男だ。13日の巨人戦も「4番・一塁」で出場すると、二塁打、左前打と2打席連続安打。迎えた6回無死一塁の打席では何とも美しい犠打をピッチャー前に決めてみせた。かと思えば、優勝を決めた16日の広島戦で今季1号本塁打を放った。

 ラインホルド・ニーバーという米国の思想家に「Bloom where God has planted you」という詩がある。日本語では「置かれた場所で咲きなさい」と訳される。

 この詩は「立場を受け入れて耐えなさい」と誤解されがちだが、本当は「諦めず、全力で咲きなさい。それは周りも幸せにする」という意味だ。

 交流戦初優勝を決めた東北楽天イーグルス。ファンもチームメートもコーチも今江監督も球団スタッフも…。置かれた場所で何度でも咲き誇る鈴木大地の周りで幸せな笑顔を浮かべていた。

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