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「鷹」の得点力支える「竜」の手腕 ソフトバンク首位快走の要因はダイヤモンドの外側にも

スポニチアネックス / 2024年6月16日 14時9分

ソフトバンクの井出竜也外野守備走塁兼作戦コーチ

 鷹のホットコーナーで腕を回す“竜”の話しを少々―。ソフトバンクの三塁コーチャーを務める井出竜也外野守備走塁兼作戦コーチが握る“神走塁”の裏側が熱い。交流戦だけで2例あった。

 (1)6月13日ヤクルト戦(みずほペイペイドーム) 2―2の4回1死二塁で走者は今宮。次打者・栗原の打球は低い鋭い弾道で中堅手・西川の正面へ飛んだ。さらに今宮は第2リードのスタートも遅れた。それでも井出コーチは腕を回し、今宮はヘッドスライディングで本塁生還し勝ち越しに成功。結果的に西川はゴロをポロリしていたのだが、投げていればと考えられるケースだった。

 腕を回した理由は明確かつ大胆だった。「僕も現役時代にセンターをやっていたのでね。定位置で鋭いゴロを捕球して投げるとなると、本塁まで意外と距離があるんだ。あと、どんな名手でもワンバウンドで捕手のミットにストライクで投げる選手は少ない」。一瞬の判断と経験で即決し、本塁に向かわせる。大胆な走塁とも言えるが、緻密な意図がある。

 (2)6月8日DeNA戦(横浜) 3―3の9回1死二塁で二塁走者は川瀬。打者・今宮のバットの芯を食った打球は中堅手・桑原の正面を襲うライナーだった。桑原はハーフバウンドで右足を着いて捕球後、すぐにカットマンの牧にノーステップで送球。その間に川瀬は野手すら見ずに同コーチだけを見て、本塁にヘッドスライディングで勝ち越しに成功した。結果的にの牧のお手玉もあったのだが、なかなかの勝負策だった。それでも同コーチは冷静な分析のもと回していた。

 「捕球の仕方もあって中堅手は完全に返球して来ないだろうと。強引だけどね。アウトでも打者走者は二塁に行けばチャンスは続くでしょ」。さらに牧は走者に背中を向けて球を受け、投げようとしていた。隙(すき)も瞬時に見抜いた。

 今宮は「凄いのは回した井出さんじゃないですか。外野の捕り方から、見ていた。びっくりしましたよ」。川瀬は「井出さんしか見てませんでした」。絶大なる信頼もある。

 1メートル81、88キロと巨体だが走塁の思い切りが魅力の川村は、2軍時代から井出コーチに判断力を叩き込まれ、代走でも生きた。「確率で考えてみろ。野手がストライクで返球してくる確率を」。この一言で盗塁から、より思い切れるようになった。

 元高校球児の記者も代打要員の三塁コーチャーで最後の夏を終えた。腕を回す機会もなく、回すと赤とんぼしかつかまらなかった。だからこそ、井出コーチの腕は、余計に目が行く。いよいよ、全国の高校野球地方大会も本格化する。得点の鍵を握る三塁コーチャーの判断は不可欠だ。

 そんな中、竜の腕が生む鷹の神走塁は実に勉強になる。(記者コラム・井上満夫)

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