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【内田雅也の追球】前川の満塁弾を呼び込んだ24球 基本姿勢を思い出し、1~4番が「線」でつながった

スポニチアネックス / 2024年6月17日 8時2分

<ソ・神>初回、石川(右)から右前打を放った佐藤輝

 ◇交流戦 阪神4ー1ソフトバンク(2024年6月16日 みずほペイペイD)

 前川右京が1回表に先制決勝の満塁本塁打を放つまでの経緯を見直したい。阪神各打者の投球を書きだしてみる。符号は○見逃し、×空振り、-ファウル、◎打球、●ボール、ケけん制。

近 本-○●-×=三振

中 野○●-●●=死球

渡 辺●ケケ×ケ●(二盗)×●●=四球

佐藤輝-×●●-●-◎=右前打

前 川●○◎=右越え本塁打

 前川の一発は27球目だった。1死満塁をつくるまでの打者4人で実に24球を投げさせている。この間、ストライク見逃しは2球しかない。積極的に打ちに出ながら、ボール球を見極めていた。

 監督・岡田彰布が繰り返し話す「ストライクを打て」「ボールは見逃せ」という極めて基本的な姿勢である。これまでよく見られたボール球に手を出し、相手投手を助け、自ら凡退していく不格好ではなかった。

 相手ソフトバンク先発の石川柊太は投球テンポが速いことで定評がある。捕手からの返球を受ければすぐに投球モーションに入る。無走者時の平均投球間隔が最も短い選手に贈られるNPBスピードアップ賞を2度受賞している。

 同賞には打者部門もあり、同じく無走者時の平均投球間隔の短さで決められるが、2020年から近本光司、糸原健斗、中野拓夢(2年連続)と阪神勢が4年連続で受賞している。石川の快テンポにも立ち遅れることなく対応していた。投球をじっくり見極める準備、間合いができていた。

 死球で出た中野がリードで揺さぶり、けん制を3球もらい、二盗を決めたのも効いている。得点圏に走者を背負った石川は先取点を与えまいと慎重になった。快テンポのリズムは消えていた。

 佐藤輝が2球でカウント0―2と追い込まれながら、ファウルと選球で粘り、8球目を右前に快打した。

 1~4番で石川のペースを崩し、真綿で首を絞めるように塁を埋めたわけだ。打者はそれまでの打者の内容を見ながら打席に向かう。次へ次へとつながっていく。それが打“線”である。

 「みんながつないでくれたチャンスでしたし……」と前川は4人の打席を見つめていた。お膳立てされ、好球を仕留めるだけだった。そして見事に内角直球を振り抜いたのである。 =敬称略=

 (編集委員)

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