阪神・梅野 33歳を迎え、今も胸に残る“ランディの教え” 「1000試合出場」を前にあらためて感謝

17年8月、完封勝利を挙げたメッセンジャー（右）と梅野

　阪神・梅野隆太郎捕手（33）が33歳の誕生日を迎えた17日、本紙にコラム「梅ちゃん隆儀」を寄せた。18日の日本ハム戦（甲子園）で節目の通算1000試合出場に到達し、球団生え抜きでは初の「捕手1000試合出場」まで16試合に迫る。家族ら周囲への感謝、特に1年目からバッテリーを組んだランディ・メッセンジャー氏（42）の存在の大きさを明かした。

　個人的なことにはなりますが、1000試合出場は本当に積み重ねですし、まだ通過点だとも思います。気づけばここまで来たという実感です。ただ、捕手という重要なポジションで、勝ったうれしさも負けた悔しさも数え切れないぐらい味わってきました。

　生え抜きで「捕手1000試合出場」は球団では初めてと聞きました。タイガースという素晴らしい球団、甲子園という日本一の球場でマスクをかぶってこられたのは本当に光栄なこと。責任のあるポジションで数多く試合に出場してこられたのは、周囲のサポートがあったからです。

　母親を幼い時に亡くして、父親が栄養面などを考えて食事も作ってくれました。体を強くするという部分では本当に感謝していますし、プロに入って大きなケガでの離脱がないことにもつながっていると今は思います。プロに入ってからは食事、精神的な部分で妻の存在も大きいですし、トータルの部分で本当に助けになっています。グラウンドでは起用してくれたすべての監督、指導してもらったバッテリーコーチ、携わってくれた球団スタッフはもちろん、今までバッテリーを組んできたすべての投手に感謝したいです。

　“この1試合”を挙げることは難しいですが、自分の中でメッセンジャーの存在は凄く大きいと感じています。1年目からエースと呼ばれる投手と組めたことは財産で、初めはランディが投げたいボールと自分のサインが合わなくてイライラされたり…。厳しさ、難しさを感じる部分が多かったですが、テンポ良く投げたいボールを投げてもらうために、とにかく必死にサインを出していました。

　ランディに言われたのは「まずは自分が思ったサインを出してこい」と。時には我慢してうなずいてくれたこともあったと思います。だんだん自分がサインを出す指の力強さも出てきて、その力強さが“ここに投げてくれ”という意思になって投手にも伝わります。ランディと数多く試合に挑んだ時間があったからこそ、意図のあるサインを出せるようになったし、そのために試合前にビデオルームに2時間こもって相手の研究をしたりしました。その積み重ねが今も生きていると思います。

　勝負の世界で毎日結果が出る中、バッテリーでどれだけ最善を尽くしたと言えるか。相手を研究すること、投手とコミュニケーションを取ることで後悔を減らすことはできます。今は若手投手を引っ張る立場の自分に“ランディの教え”はずっと残っています。

　連覇を目指す今季はなかなか思うようにいかない試合もありますが、ずっと大事にしてきた守りの部分をより意識して、何かチームに勢いを与えるようなプレーや1勝に貢献していきたいです。そういう意味でも1000試合も数字としては、ただの通過点で、数多くのマスクをかぶって目の前の1勝を着実につかみ取っていくことに全力を注いでいきます。（阪神タイガース捕手）

　《村上とのバッテリー》

　○…梅野は村上と直近2度バッテリーを組んでいることから、18日の日本ハム戦で通算1000試合出場が見込まれる。プロ野球では過去529人が到達。「（3連戦のうち）2つ負けているチームが相手。3個目をやられないように、やるべきことをしっかりやって最後に勝ちを取れるように頑張りたい」と節目を飾る勝利を誓った。

　《捕手出場984試合は生え抜き捕手最多》阪神選手として1000試合以上出場は過去27人が達成。主に捕手を務めた選手の出場試合数は矢野燿大の1320試合で最多。田淵幸一が1141試合で続き、阪神生え抜き捕手で最多。梅野の999試合はチーム捕手3番目で、生え抜き捕手2番目になる。また、梅野は14年のデビュー以来、捕手以外の守備位置での出場がなく、捕手出場984試合は矢野の1281試合に次ぐチーム2番目。生え抜き捕手では木戸克彦の943試合、田淵の917試合を上回る最多出場だ。

　《メッセと83試合》梅野はメッセンジャーとともに在籍した14～19年のレギュラーシーズンでは83試合で先発バッテリー。新人だった14年17試合。正妻に定着した17年以降はメッセンジャーが登板した64試合のうち62試合で先発マスクをかぶった。