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映画「男と女」エーメさん死去 取材記者が思い出す魅惑の瞳 仏ニースの古城にて

スポニチアネックス / 2024年6月20日 4時48分

1980年、カンヌ国際映画祭でアヌーク・エーメさんを取材する脇田記者

 映画「男と女」で知られるフランスの名優アヌーク・エーメさんが18日、パリの自宅で死去した。92歳だった。地元メディアが伝えた。1960年代を中心に、フランスやイタリアなどの数々の名画に出演し、フランスを代表する女優の一人とされた。

 1980年「Salto nel vuoto(原題)」で女優賞を受賞した第33回カンヌ国際映画祭では、日本人記者の取材にも応じ、日本のファンにメッセージを寄せるなど多くの人を魅了。当時を取材した記者が名女優を追悼した。

 アヌーク・エーメさんの作品の中でもクロード・ルルーシュ監督作品「男と女」はスタントマンの夫と死別した脚本家のアンヌ(アヌーク・エーメ)と妻に自殺されたカーレーサーのジャン(ジャンルイ・トランティニャン)の中年男女の恋がフランシス・レイの「ダバダバダ…」の甘美なメロディーと共に一世を風靡(ふうび)した。新人監督のクロード・ルルーシュのクリエーティブな映画は世界をも席巻。第19回カンヌ国際映画祭でグランプリ(当時)を受賞のほか、第39回アカデミー賞国際長編映画賞、脚本賞、主演女優賞、監督賞を受賞。映像派といわれた同監督に影響を受けた監督も少なくなく、斉藤耕一監督もその1人で、萩原健一と岸惠子共演の「約束」(1972年)などが懐かしい。

 筆者が「男と女」を見たのは、映画記者になって2年目。この映画はオードリー・ヘプバーンさんの「ローマの休日」と共に永遠に語り継がれる大人のラブロマンス映画と確信した。

 そんなところにあこがれのアヌーク・エーメさんに会うチャンスに恵まれようとは。夢にも思わなかったことが現実のものとなった。

 黒澤明監督「影武者」が第33回カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した時、現地取材。黒澤明監督はニースの古城を貸し切り盛大な祝賀パーティーを開いた。そのパーティーになんとアヌーク・エーメさんが現れたのだ。

 同行したフランス語の達者な評論家にお願いして「日本から来た映画記者です。あなたの『男と女』を見て圧倒され大ファンになりました」とのフランス語を取材メモ帳にカタカナでしたため読み上げると、アヌーク・エーメさんはあの人を魅了する奥深い瞳を輝かせ「ありがとう。日本のみなさまによろしくお伝え下さい」とメッセージをくれた。

 それから53年後の2019年「男と女」の続編「男と女 人生最良の日々」が、前作と同じスタッフ、キャストで製作され、日本公開された2020年2月、渋谷のル・シネマで拝見した。前作を撮った時のアヌーク・エーメさんは34歳の美ぼう盛り。続編では87歳。さすがに老いは隠せなかったが、時間が止まったように53年前ニースであった時の感情がよみがえってきた。これからも大人のラブロマンスのヒロインと言えばまず、アヌーク・エーメさんを思い出すに違いない。92歳。私生活では4回結婚。天寿を全うされた。(スポニチOB 脇田巧彦)

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