1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

藤井叡王 8冠陥落 初めて負けた タイトル戦22連覇でストップ 伊藤七段に“また泣かされた”

スポニチアネックス / 2024年6月21日 5時2分

大盤解説会で一礼する藤井叡王(手前、左は伊藤新叡王)(撮影・藤山 由理)

 将棋の第9期叡王戦5番勝負(不二家主催)最終第5局は20日、甲府市の「常磐ホテル」で指され、全8冠を保持する第一人者・藤井聡太叡王(21)が挑戦者・伊藤匠七段(21)に156手で敗れた。シリーズ成績も2勝3敗で、自身初の失冠。タイトル戦敗退も初めてで、自身の持つタイトル連続獲得は歴代最多の22連覇で止まった。昨年10月11日の王座戦で全8タイトルを独占して以来、254日で衝撃の陥落となった。

 もはやなすすべもないと悟った藤井が居住まいを正してこうべを垂れる。甲府盆地の空はまだ明るい午後6時32分。17歳11カ月でタイトルホルダーとなって以来、無傷だったタイトル戦連覇は22で止まった。全冠制覇からも無念の落城。背筋をピンと伸ばしたまま、表情一つ変えずに投了の盤面を凝視し続けた。

 「それは時間の問題だと思っていました」。デビュー以来の想像を超える進撃にブレーキがかかった藤井は、陥落について問われると間髪を入れずに言葉を繰り出した。そして「あまり気にせず、これからも頑張っていきます」。ハキハキとした口調は悔しさの裏返しかもしれない。

 運命のファイナル対局は、振り駒で先手を得る幸先の良い滑り出し。得意の角換わりに進み、伊藤が千日手も辞さずの状況を漂わせると「予定の指し方」で穴熊に組んだ。将棋というゲームの中では、古典的ながら最強の囲い。居飛車相手にこの陣形を採るのは16年のプロ入り以来初めてだ。「自王の堅さを生かす展開にできれば」と、77手目には銀のただ捨てを披露。藤井らしい異次元の攻め筋で後手を圧倒していく。

 だが好事魔多し。「(伊藤の98手目)△5三銀と(100手目)△5二銀という手順が指されるまで気づかなかった」。気持ちよく攻めていた手順がにわかに怪しくなる。106手目に△8六歩と突かれ、応手の▲同歩を指すまで持ち時間53分中、40分も投入してしまった。「その局面で思わしい手が分からず」フリーズ状態で脳内回路が悲鳴を上げる。中盤のリードを徐々に吐き出し、終盤は相手の悪手を誘う「毒まんじゅう」を連続投入せざるを得なかった。数々の大逆転を演じてきた得意技は、伊藤には全く通じなかった。

 「今シリーズは終盤のミスが多く、結果はやむを得ないかなと。同時に伊藤さんの力を感じることも多かったと思っています」

 何かが吹っ切れたように話した藤井。だが冷静に考えれば8タイトル中、依然として7つを保持している。「もっと実力をつけるのが一番ですから」。同世代のライバルに屈した21歳の天才は、一度の失態で崩れ去るほど軟弱ではない。1年後の全冠復帰を目指し、牙を研ぎ続けるのが藤井の変わらぬ姿勢だ。(我満 晴朗)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください