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【内田雅也の追球】広いファウル地域の綾

スポニチアネックス / 2024年6月26日 8時1分

ファウル地域も広い倉敷マスカットスタジアム(撮影・椎名 航)

 ◇セ・リーグ 阪神0-1中日(2024年6月25日 倉敷)

 倉敷マスカットスタジアムは広い。両翼99・5メートル、中堅122メートルはもちろんだが、ファウル地域も広い。特に外野部分が広い。グラウンド面積1万5000平方メートルは国内最大級である。

 完成は1995年。かつて岡山県のメイン球場だった岡山県野球場が老朽化し、新球場を建設する際、「甲子園に匹敵するグラウンドを」との声があがったそうだ。岡山の高校野球関係者から聞いた。県代表の甲子園大会での活躍を願う思いがこもっていた。

 だから、甲子園に似ている。内野の土も外野の天然芝も、そして広いファウル地域も……。ただ甲子園は「平成の大改修」でファウル地域が狭まり、グラウンド面積は1万4700平方メートルから1万3000平方メートルになった。今では阪神の選手でも倉敷の広さを強く感じていることだろう。

 その広いファウル地域を巡る明暗が交錯したのが8回表だった。スコアは0―0。先頭の代打・大島洋平の一邪飛に一塁手・大山悠輔はファウル地域を懸命に走り、最後は飛び込んで好捕した。阪神ファンが目立つスタンドが沸いた。

 2死後、田中幹也が放った右翼線打球は広いファウル地域を転々、三塁打となった。通常の球場ではフェンスに当たり、二塁打止まりだろう。

 続く板山祐太郎に一、二塁間を破られる右前打を浴びて痛恨の1点を失った。好投の才木浩人はこの1点に泣いた。

 田中の一打が二塁打であれば、外野は前進守備を敷き、板山右前打での生還はなかったのではないか。そんな恨み節も聞こえてきそうだ。

 阪神は開場以来、ほぼ毎年、主催試合を行うグラウンドでよく守った。初回先頭、三遊間ゴロを好捕した小幡竜平、ワンバウンド送球を好捕した大山で立ち上がりのピンチを未然に防いだ。大山は2回表にもバックハンドでのスクーピングを見せた。7回表の二盗阻止は梅野隆太郎の強肩に加え、小幡の素早いタッチがあった。「タッチ一つでチームを救える」という教えが生きた。監督・岡田彰布はキャンプでの内野ボール回しでタッチを盛り込むように指示していた。

 しかし野球は点取りゲームである。いくら投手が投げ、野手が守っても0点では勝てない。こんな才木を敗戦投手にしてはいけない。 =敬称略= (編集委員)

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