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【内田雅也の追球】「ヨギイズム」の教え

スポニチアネックス / 2024年6月27日 8時3分

<神・中>延長10回、代打・豊田は内野安打を放つ(投手・橋本)(撮影・須田 麻祐子)

 ◇セ・リーグ 阪神1-1中日(2024年6月26日 甲子園)

 1940~60年代に大リーグ・ヤンキースで活躍した捕手で、引退後は監督も務めたヨギ・ベラは、独特の発言がよく話題となった。「ヨギイズム」と呼ばれ、今に伝わっている。

 一つに「考えろだと?考えるのと打つのを同時にできるわけがないだろう」がある。「考えて打て」への反論である。

 実際、打撃に関しては的を射た言葉かもしれない。貧打にあえぐなか、阪神監督・岡田彰布は「試合になったら、考えて打席になんて立たれへん」と話していた。

 「バッティングなんか一番難しいんやから簡単に考えんとあかん。難しいことを難しく考えると余計におかしくなってしまう。構えたらパンとシンプルに打つだけやん」

 確かに、練習ではフォームなどを、試合前や試合中は狙い球などを考えるが、打席には頭をすっきりさせて立ちたい。

 さらに「打席入ったらピッチャーとの、ボールとの勝負。考えんと反応して打てと言うのや」

 来た球に反応するためにはもちろん練習が必要だ。筋肉記憶(マッスルメモリー)を鍛えたい。長年乗っていなくとも自転車を運転できる。「体が覚えている」という筋肉の動きである。

 その点ではこの夜、佐藤輝明が4回裏に放った右翼フェンス直撃の三塁打は、考えずに反応で打ったのではないか。2死一塁の初球、内角カーブかスライダー。直球待ちでいたところに変化球が来たが、勝手にスイングしていたように見えた。

 延長10回裏2死二塁で代打起用された豊田寛も一つの例として見たい。初球、甘いスライダーを見逃し、ボール球を振って追い込まれたが、高めボール気味スライダーを二塁内野安打とした。「投手との勝負」に向かい食らいついた。不格好でも結果は安打である。

 ただし「考えるな」は実は難しい。野球には間(ま)があり、プレーの合間に考える時間ができる。野球は難しい……と、また考えてしまう。

 9回裏1死満塁、10回裏2死一、三塁とサヨナラ機を逃し、引き分けに終わった。ヨギイズムには「終わるまで終わらない」がある。本来は監督として大差のシーズンを逆転優勝した実績から「最後まであきらめるな」と不屈の精神をいう。だが、今の阪神は「詰めが肝心」という警句として聞きたい。 =敬称略= (編集委員)

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