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評判の打撃マシーン「トラジェクトアーク」、それでもリーグ打率は・242と低迷、なぜ?

スポニチアネックス / 2024年6月27日 10時55分

ドジャースのヘイワード(AP)

 スポーツ専門局「ESPN」電子版が「トラジェクトアーク」について特集している。個々の投手の投げる球をデータに基づいて球速、軌道、回転率、回転軸など、細かく再現できるバッティングマシーンで、21年までは存在しなかったが、現在MLBの19球団と日本の3球団が使用している。しかもMLBについては、今年から試合中の使用を許可した。

 ある打者は「投手がかつてないほど速く、よく動く球を投げ、打つのが難しい時代に、これほど役に立つテクノロジーは初めて」と歓迎している。一方、あるベテラン投手は試合中の使用を不公平とみなし「使いたければ使えばいいが、試合開始の3時間前にはマシーンを止めてほしい」と不満を口にしている。

 とはいえ、マシーンの効果はあまり見られない。リーグ全体の打率は・242で、1900年以降3番目に低いからだ。ただ、リリーフ投手に対する三振率は8年ぶりに23%以下の22・9%で、リリーフ投手対策にはなっているのかもしれない。

 ヤンキースの左腕ケーレブ・ファーガソンは強く反対。「投手は事前に打者との対戦を模倣することは不可能なのに、打者は私の速球を3時間も打ち込んでくる。公平ではない」と言う。一方で打者は、マシーンは役に立つものの、それほど単純なものではないと説明する。まずとても大きく移動に向かないため、ホームでの試合時にしか使えない。しかも実際には、試合中に打つことはほとんどない。速い球を打って手を痛める心配があるからだ。しかもボールのスピンを見きわめにくいし、投手の映像はホログラムなので実際の試合のように腕の振りを見ながらタイミングを合わせるのも難しい。ダイヤモンドバックスの本拠地チェースフィールドでは、屋内バッティングケージが狭いため、投球板(マウンド)からホームベースまでの距離が取れず、せっかくのマシーンがほこりをかぶっている。

 「トラジェクトアーク」の使用料金は月額約1万5000ドルで、3年間の契約が必要。個々の球種についてはホークアイのデータを入力する。投手の投球フォームのビデオは、全てのメジャーリーグの本拠地のホームプレート後方に設置されたカメラから来ており、各投球に対応するビデオをアップロードして正確なアームスロットを投影する。マシーンが使用されればされるほど、投球の再現精度は向上する。

 とはいえ、必ずしも完ぺきではないそうだ。ドジャースのジェイソン・ヘイワード外野手は「いくつかは似ているように見え、いくつかはそうではない。やはり実際のゲームとは違う。ゲームでは投手がボールをここに投げようと思ってもそうはいかないことが多い。マシーンはビデオゲームのようにピンポイントに毎回くる。だから、それが現実的ではない。とはいえ、投手が投げてくる球についてビジュアルやアイディアを得ることができるのは良いし、間違いなく役立っている」と言う。

 「トラジェクトアーク」を開発したのはジョシュア・ポープさん(28歳)。19年に「トラジェクトスポーツ」という会社を立ち上げ、CEOとなった。同年のウインターミーティングで、シカゴ・カブスのイノベーションディレクターに会い、強い興味を持たれ、21年の春にカブスが購入、最初の顧客となった。22年には、7チームが導入、23年には12チームに拡大。現在、この技術は業界のほぼ3分の2に普及している。

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