奈緒は涙 三木監督は頭下げ3度謝罪 異例舞台あいさつ 「インティマシー・コーディネーター」で物議
スポニチアネックス / 2024年7月5日 19時20分
女優の奈緒(29)が5日に都内で行われた、主演を務める映画「先生の白い嘘」公開初日舞台あいさつに出席した。撮影時のエピソードや作品の見どころ、作品に込めた熱い思いのほか、物議をかもした「インティマシー・コーディネーター」の導入について語り、涙を浮かべる場面もあった。
本作は、累計部数100万部を突破した鳥飼茜氏の同名漫画が原作。一人の女性が抱える「自らの性に対する矛盾した感情」や、男女間に存在する「性の格差」に向き合う姿を描き、人の根底にある、みにくさと美しさを映し出す。
さまざまな葛藤を抱えながらの撮影となったが、奈緒は“性と暴力の問題”に向き合う難しい役を演じきった。
同作をめぐっては、一部報道で性的描写の撮影の際に監督と俳優の間に入って身体的・精神的にサポートする「インティマシー・コーディネーター」を導入するかどうか、奈緒と三木康一郎監督の間で協議が行われ、奈緒は導入を希望したものの、最終的に三木康一郎監督は導入しない決断をしたと報じられた。三木監督のインタビュー記事が発端で、ネットやSNSでは監督の決断に多くの批判的な意見が上がり、物議を醸していた。
16分遅れで始まった舞台あいさつ。報道を受け、同作製作委員会からの謝罪コメントから始まる異例の舞台あいさつとなった。
主演の奈緒、猪狩蒼弥、三吉彩花、風間俊介、三木康一郎監督が登壇。黒い衣装で登場した。
初めに口を開いたのは、三木監督。「私の不用意な発言により皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけしたことをこの場で謝罪したいと思います。本当に申し訳ありませんでした」と陳謝。「関係者、スタッフ、キャスト、彼らにも大きな大きな苦しみを与えてしまったこと、この場で謝罪したいと思います。本当に申し訳ありませんでした。」と体の向きを奈緒ら出演者の方に向けて、深々と頭を下げた。また、この場にはいない鳥飼茜氏に向けても謝罪を述べ、合計3度、頭を下げながら謝罪の言葉を口にした。続けて「このような状況でもこの場に来てくださった皆さん。感謝しかありません。本当に本当にありがとうございました」と会場にいる全ての人、全ての関係者に向け感謝し、5秒間頭を下げた。
奈緒は監督の言葉を受け「前日にいろいろなことがありまして…」とあいさつ。「一言私がこの場に来てお話しなければ行けないなと思っていた」とし「ここにいる誰も心痛めることなく一緒にいたいと切に願っております」と共演者を気遣い、一言「私は大丈夫です」と力強く言いきった。
会場に来るまで「いろいろな葛藤があった」と説明。舞台あいさつの前に鳥飼氏とも顔を合わせ、話をして心の整理をしてきたと語った。
公開を迎え「複雑な気持ちもある」としたが「作品を見たときに一つの映画として力強い映画になっていると感じた。現場で乗り越えたシーンを思い出して、凄く凄くうれしかった。自分が思っていた以上にうれしかった」と笑顔。作品を見た観客へ「うれしい気持ちを感謝の気持ちでいっぱいで、本当にありがとうございます」と感謝した。
本作が映画初出演となった猪狩。「“私が映画を撮り終わった後に、猪狩君がまた映画やりたいと思ってくれたら、それが一番だよ”」という奈緒の言葉が印象に残っているという。
「また、映画やりたいです僕」と宣言し、「積み上げた物が形になっていろんな人の気持ちとか情熱とかが乗っかって、届いて、半永久的に残り続けるというのが本当に素晴らしいことだと思った。難しいテーマではありましたけど、率直に僕はこの作品が公開されたことが心からうれしいです」と感謝した。奈緒が「ありがとう」とかみしめるように語ると、会場は温かい拍手で包まれた。この時、奈緒の目には光るものがあった。
最後に奈緒は「私は原作に惚れ込み出演することを決めました。すれ違いがあったことも事実です」と再度説明。当人同士の問題であったとし「権力に屈することなく対等な関係で監督とも話し合いましたし、自分の言いたいことも伝えました。現場に対して不十分だと思うこともありました。私たちも未熟で、もっとコミュニケーションをとるべきだった」とし、公開にあたり「皆さんを傷付けないように、言葉を選んで真意として伝わるかまでお話できていなかったことが、皆さんを不安にさせることを招いたと、深く反省しております」と謝罪した。「権力の違いとかなく、対等な現場だった」と強調し、自身の心配する声は届いていて「ご安心下さい。大丈夫ですとお伝えしたい」とほほ笑んだ。
作品を通じて「全ての人が自分自身を守れる、誰かが悲しんでいたら手を差し伸べられる、そういう“淀みのない河”を心から諦めずに目指したいと」と感じ、「本当に本当にありがとうございます」と安堵(あんど)の表情で締めくくった。
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