バスケ男子 “ラストサムライ”はジェイコブス！3点シュート＆リバウンドで日本の秘密兵器に

＜バスケ男子強化試合　日本・韓国＞第4Q、ドリブルするジェイコブス晶（撮影・小海途　良幹）

　日本バスケットボール協会は8日、パリ五輪に臨む男子日本代表12人を発表した。八村塁（26＝レイカーズ）、渡辺雄太（29）、河村勇輝（23＝横浜BC）らが順当に選出され、当落線上にいた身長2メートル3の20歳、ジェイコブス晶（ハワイ大）が滑り込んだ。チームは今週中に渡欧。欧州で強化試合2試合を行い、27日開幕の本番に備える。1次リーグで日本と同じB組に最終予選を勝ち抜いた世界ランク12位のブラジルが入ることも決まった。

　国際オリンピック委員会へのエントリー締め切り日に、歴代最強メンバーが発表された。名門レイカーズで主力の八村、昨年2月に日本国籍を取得したホーキンソンのフロントコート陣は世界に引けを取らない。NBAで日本人最多6季プレーした渡辺雄は左ふくらはぎの肉離れを抱えるが、間に合うようにリハビリを続けている。司令塔の河村とシューターの富永も五輪後のNBA挑戦が決まっている。ホーバス監督は「この2か月間で約40人から12人に絞り込むのは本当に難しいプロセスでした。このメンバーで五輪を戦うことを楽しみにしています」とコメントした。

　豪華な顔触れに割って入った急成長株がジェイコブスだ。5月に実施された若手主体の第1次合宿から唯一メンバー入り。神奈川県出身で米国人の父を持ち、米国西海岸で育った。コロナ禍でプレーする場所を失った20年末に帰国し、横浜BCの下部組織に加入。当時のB1最年少記録17歳7カ月でトップチームデビューした。オーストラリアのNBA選手育成組織を経て、昨秋からハワイ大に所属。左利きで身長2メートル3の高さに加え、外からのシュートも備える。

　昨夏のW杯前も日本代表に招集されたが、直前で落選。この1年で体重を約10キロ増やし、当たり負けしない強さを身につけ、最終候補メンバー16人入り。5、7日の韓国戦は2試合で計17得点、14リバウンド。3点シュート14本中5本を決めて12人に滑り込んだ。チームの課題である3点シュート成功率とリバウンド力を改善できる存在だ。

　横浜BC時代にチームメートだった河村との息の合ったプレーも強み。合宿期間中は一緒に過ごすことも多く、3歳上の司令塔から薫陶を受けてきた。ジェイコブスは「五輪に出場することは夢で、予想より早くその機会が訪れた。世界最高のチームと対戦するために臨むのではなく、勝利をつかむことにトライする。引き続き努力し、ベスト8という目標を達成したい」とコメントした。世界デビューとなる未完の大器が秘密兵器となる。　（木本　新也）

　◇ジェイコブス　晶（あきら）2004年（平16）4月13日生まれ、神奈川県横須賀市出身の20歳。米国人の父と日本人の母を持つ。生後間もなく渡米し、4歳から競技を始める。20年に帰国し、21年1月に横浜BCの下部組織に加入。同9月にトップチームの特別指定選手となり、同11月の宇都宮戦でBリーグデビューした。昨夏のU―19W杯で8強入りに貢献し、ハワイ大に進学した。身長2メートル3、体重101キロ。左利き。

《川真田ら落選》

　○…最終候補メンバー16人からは川真田紘也（長崎）、井上宗一郎（越谷）、佐々木隆成（三遠）、金近廉（千葉J）が落選した。昨年のW杯代表だった川真田はチーム合流から日が浅い八村に積極的に絡むなどムードメーカーとしても貴重な存在。7日の韓国戦ではゴール下で存在感を発揮し「自分ができる部分はアピールできた」と語っていたが、同じセンターの渡辺飛との争いに敗れた形だ。