履正社が5回コールドで初戦突破 公式戦1号の1番・近沢賢虎「アレのアレを目指したい」

＜履正社・豊中＞応援に訪れていた京都東山ボーイズの選手らと記念撮影する履正社・近沢（中央）（撮影・須田　麻祐子）

　◇第106回全国高校野球選手権大阪大会2回戦　履正社10―0豊中（2024年7月15日　住之江）

　昨夏覇者の履正社が、5回コールド勝ちで初戦を突破した。初回に2点を先制すると、2回には4安打を集めて4点を追加。3回は2点を挙げ、なおも1死一塁から1番・近沢賢虎外野手（けんご＝3年）が高校通算14号で公式戦初本塁打となる左越え2ランを放った。

　「狙った訳じゃなかったが、感触はスゴくよかった」

　スタンドには中学時代にプレーした京都東山ボーイズ・レッドベアーズの後輩たちが応援に駆けつけており「いいところを見せられた」と胸を張った。

　昨年はレギュラーとして春夏連続で甲子園出場するなど順調だった。しかし、昨秋は近畿大会準々決勝で京都外大西に敗れて今年のセンバツ出場を逃し、春の大阪大会は4回戦で大院大高に敗れたことで、夏のシード権を獲得できなかった。ここ十数年、大阪桐蔭と“2強”を形成してきた強豪ながら、新興勢力の台頭を許したことで危機感が生まれていた。

　「何がアカンのかな、と。（監督の）多田先生にも聞いてみて“僕たちだけで話をさせていただいてもよろしいですか”と」

　選手たちだけでミーティングを重ね、この夏は泥臭くやることをテーマに決めた。初回の先制点は2死二、三塁から暴投で三塁走者が生還し、ボールを追った捕手が本塁をカバーした投手への送球がそれる間に二塁走者もホームイン。集中力を切らさない好プレーに、ベンチは盛り上がった。

　両親から「虎」の字を名前に付けられたことから想像できるように、家族そろって阪神ファン。目標とする選手は「走攻守そろっていて、率も残せる」近本だという。大阪大会の連覇を目指す立場になるが、プレッシャーはないと言い切る。

　「負けたら仕方ないっていうぐらい、思い切ってやっていこうと。まずは第1段階で大阪大会を優勝して、（甲子園で）日本一を目指しているんで。アレのアレを目指したい」

　昨年の阪神が達成した日本一の隠語になぞらえて“履正社のチカ”が昨夏同様にノーシードから頂点を狙う。（石丸　泰士）