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【高校野球】部員10人の和歌山南陵が初戦突破 エース・松下は12奪三振、山塚は左越え弾

スポニチアネックス / 2024年7月16日 14時4分

<和歌山南陵・紀北農芸> 和歌山南陵の先発・松下は8回無失点の好投を見せる (撮影・後藤 大輝)

 ◇全国高校野球選手権和歌山大会2回戦 和歌山南陵4―0紀北農芸(2024年7月16日 紀三井寺球場)

 部員10人の和歌山南陵が初戦を突破した。高校の経営難で新入生の募集ができず、3年生10人での戦いを余儀なくされているが、和歌山南陵は2年連続で4強入りしている新興の強豪校だ。

 エース・松下光輝投手が初回から自己最速の143キロの真っ直ぐで紀北農芸を圧倒すると7回まで12三振を奪って8回に降板。4―0勝利の立役者となった。また、打線は7番・山塚虎大朗右翼手が2回に左越えアーチをかけるなど3安打して勢いづけた。

 山塚は「打ったのはストレート。狙ってはいなかったけど、よく飛びました」と笑顔。8回に打順が回れば、三塁打でサイクルヒットになったが直前でチェンジ。「サイクルは狙っていたんですけど…残念です」とここは苦笑いするしかなかった。

 勝つには勝ったが、10人チームの不安も見えた。4回、8番・中村聖捕手が頭部に死球を受けて特別代走が起用される事態に。さらに佐々木陸斗三塁手が右ヒザを裂傷して手当に時間がかかった。9回には背番号「10」畑中浩平内野手が代打に立って、交代要員がいなくなった。不慮の事故、熱中症でプレーできない選手が出ると没収試合となる…そんな危険と隣り合わせでの勝利でもあった。

 岡田浩輝監督(27)は「僕は怖いとは思っていません。みんな3、4ポジション出来るし、そんな10人で強いチームと練習試合させてもらった。10人の怖さなく戦っている」と話す。松下も「10人だからこそ濃密な練習ができている」と少人数のハンディを感じさせない口ぶりだ。

 学校は経営陣を刷新して生徒の募集を再開できるよう申請し始めた。新体制の甲斐三樹彦理事長(52)は「学校はサービス業。生徒はお客様です。お客様に納得できる環境を整えて親御さんに安心してもらう。旧体制に切られた先生方とも連絡をとっているところ。企業に協力してもらって通信での授業をするプランもあります」と話した。ただ、3年生しかいない以上、夏が終われば野球部員はいなくなる。岡田監督は「南陵、区切りの夏です」と表現した。決して終わりじゃない。3回戦の相手は智弁和歌山に決まった。野球部は和歌山南陵の名を上げて後進が続くことを待つ。

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