意外?大谷翔平を封じ込めている37歳ベテラン投手 本人は冷静、VS大谷で心がけていること
スポニチアネックス / 2024年7月20日 7時31分
オールスター戦も終わり、メジャーリーグは後半戦に突入する。今季は複数の打撃タイトルが可能なペースで打ちまくり、オールスターでも自身初の本塁打を放ったドジャース・大谷翔平の動向がもちろん最大級の見どころ。同時にナ・リーグのライバルチームにとっては、大谷をどう抑えるかが焦点になるのだろう。
現在、49勝46敗でワイルドカード圏内に入っているメッツには、少々意外なほどに大谷を封じ込めている投手がいる。37歳のベテラン左腕、ジェイク・ディークマンはこれまで大谷に対して14打数1安打7三振4四球で長打もゼロ。打数が多いわけではないが、7年連続での対戦で捉えられていないのだから、これはもう「スモールサンプル」とは言い切れまい。アスレチックス、レッドソックス、レイズなどに所属してきたリリーバーは、どんな大谷対策を用いて成功を続けているのだろうか。
2024年 3打数0安打1三振
2023年 0打数0安打1四球
2022年 3打数0安打2三振
2021年 3打数0安打2三振1四球
2020年 3打数1安打1三振1四球
2019年 1打数0安打1三振
2018年 1打数0安打1四球
「他の打者と違うことをやっているわけではないよ。考えているのは0-1、0-2、1-2といったようにカウントを整え、ストライクを先行させること。大谷は強打者であるだけでなく、足が長く、俊足でもあるから、塁に出すとかき回されてしまう。だからとにかくストライクゾーンに質の高い球を投げることを心がけている」
予想できたことだが、何か特別な秘策があるわけではないという。ディークマンは今年は90%以上、昨年も76%がフォーシーム&スライダーのコンビネーションという典型的なパワーピッチャー。細かい制球があるわけではなく、むしろ荒れ球が信条である。大谷に対しても普段と違う投げ方はしていないというのは納得できる。
やはり左対左のアドバンテージが大きいに違いない。その上で、90マイル台後半の速球と、外に曲がり落ちるスライダーを思い切りよく投げ込んでの真っ向勝負が大谷にも通用してきたということなのだろう。
ディークマンは2020年、「ピッチング・ニンジャ」ことロブ・フリードマン氏が投稿したスライダーの動画にヒントを得たというエピソードは知られている。レイズの救援右腕チャズ・ローが投げていたスライダーに興味を持ち、フリードマンを通じてその握りを取得。今でもスライダーはその握りで投げ続けており、スイーパーと称されることもある変化球は大谷に対しても重要な武器になっている。今季も5月28、29日の対戦ではスライダーを見せ球に使い、最後は90マイル台後半の速球で遊ゴロ、空振り三振に討ち取った投球は見事だった。
これだけの成功を積み重ねてきても、ディークマン本人は大谷キラーとして自信をつけているわけではないという。7年にわたって対決を続けてきているからこそ、その成長ぶりも見えてきているようだ。
「何度対戦しても、彼に対してはどんなときでも決して快適ではない。大谷は以前から左右両方に強烈な打球を飛ばせる完成された打者だったけれど、今では確実性が高まった印象がある。これまで以上にフィールド全体を使えるようになった。3割を大きく超える打率にそれが表れているのだろう」
1年契約でメッツに加わったメジャー13年目のディークマンは今季もブルペンの一角を務めてきたが、7月は2回1/3で自責点5と調子を崩してきた。ポストシーズンが狙える順位にいるチーム内で、役割を保てるかは定かではない。
ただ、このままドジャース、メッツがどちらも好位置を保てば、プレーオフでの対戦も考えられる。本人が自信を持っているわけではないにしても、ディークマンの大谷相手の実績はチームには魅力だろう。大事な時期に鍵になる場面での大谷との再対決もあり得るだけに、ディークマンの行方もしばらく興味を持って追いかけておきたい。(記者コラム・杉浦大介通信員)
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