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「KOできないって言った人、誰ですか?」天心快勝の裏に常人にはない“感覚” 会長も示唆、世界戦近づく

スポニチアネックス / 2024年7月21日 5時31分

<ダブル世界戦>勝利した那須川(撮影・島崎忠彦)

 ◇プロボクシング54.4キロ契約10回戦 那須川天心 TKO3回1分49秒 ジョナサン・ロドリゲス(2024年7月20日 東京・両国国技館)

 KOしたぞ!WBA世界バンタム級7位の那須川天心(25=帝拳)が、ボクシング転向4戦目で初めて相手をキャンバスに沈めてのKO勝利を挙げた。自身初10回戦で世界4位でジョナサン・ロドリゲス(25=米国)の格上相手に何もさせず、3回1分49秒TKO勝ち。前戦から大きく成長した姿を見せ、次戦での地域タイトル挑戦へ大きく前進した。

 これまでにない感覚に那須川は酔いしれた。「やっとやりましたよ、KO!KOできないって言った人、誰ですか?」。初めて相手を倒しての勝利にコーナーポストに上がり何度も観客をあおった。

 見せ場はすぐに訪れた。2回終了間際、左ストレートで相手をぐらつかせると3回には中間距離からの鋭い踏み込みで、がら空きの顔面に強烈な左ストレートをぶち込み、ロープ際で連打。最後は左ストレートでダウンを奪うとレフェリーが試合を止めた。「お待たせしましたって感じ。倒し切ることができて少しは成長したところを見せられた」と何度も左拳を突き上げた。

 1月の転向3戦目は初のTKO勝利を挙げたものの、3回終了後に相手が右足首痛を訴えたもので、ダウンは一度も奪えず。以降、接近戦や中、長距離での戦い方を模索した。「頭を揺らしたりとか、他の人があまりやっていない動きをした。あとはテレパシー」とおどけながら、持ち味のスピードに力強さが加わった新たな「那須川天心の型」で上位ランカーを圧倒した。

 3戦目の前から改善した歩き方に加え、今回は呼吸法を意識した。練習前はストローで風船を膨らましながら、瞑想(めいそう)。「呼吸とタイミングを読んで、相手の気が緩んだところに打つことをやってきた。それが出せた。タイミングはパワーに勝る」。常人にはない“感覚”を身につけ、試合で実行して見せた。

 「タイトル前哨戦」に完勝し次戦にも栗原慶太(一力)が持つ東洋太平洋などの地域タイトル挑戦の可能性が高まった。帝拳ジム・本田明彦会長は「誰にもできないようなボクシングをする。これが12回できるようになれば世界で通用する。最初に言っていたより少しは早くなるかも」と当初定めた10戦目から前倒しで世界挑戦させる可能性も示唆。那須川は「記者の方、ファンの方の(タイトル戦)やってくれよ、という声があればあるほど早くなるんじゃないかな」。自信に満ちた表情で満面の笑みを浮かべた。 (伊東 慶久)

 ◇那須川 天心(なすかわ・てんしん)1998年(平10)8月18日生まれ、千葉県松戸市出身の25歳。5歳で極真空手を始め、小6で転向したキックボクシングではRISEでバンタム、フェザー級の2階級制覇など42戦全勝(28KO)。18年大みそかのエキシビションで元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)に1回TKO負け。22年6月の「THE MATCH」(東京ドーム)で元K―1王者の武尊に判定勝ち。昨年4月のボクシングデビュー戦で6回判定勝ち。今年1月には3回終了TKO勝ちで転向後3戦目で初のKO勝ちを収めた。身長1メートル65の左ボクサーファイター。

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