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金足農一番乗り 輝星に続いた6年ぶり兄弟甲子園 2年エース・大輝16安打5失点も完投

スポニチアネックス / 2024年7月22日 5時2分

<金足農・秋田商>優勝を決め喜ぶ金足農・吉田(左から2番目)ら金足農ナイン(撮影・大城 有生希)

 ◇第106回全国高校野球選手権秋田大会決勝 金足農6―5秋田商(2024年7月21日 さきがけ八橋)

 旋風、再び!夏の甲子園大会の出場校を決める秋田大会は21日、決勝が行われ、金足農が秋田商に6―5で勝利。南北海道の札幌日大、沖縄の興南とともに一番乗りで6年ぶり7度目となる聖地切符をつかんだ。準優勝を果たした前回18年出場時のエースでオリックス・吉田輝星投手(23)を兄に持つ大輝投手(2年)が16安打を浴びながら154球で9回を5失点完投。今大会で計510球を投げた右腕が、全国の舞台でも躍動する。

 最後に訪れた最大の試練も、吉田にとっては輝きを増すためのシナリオにすぎない。1点差とされなお2死満塁。一打逆転の窮地でも、相手の応援歌を口ずさむ余裕があった。酷暑の中で投じた最後の154球目。27個目のアウトは得意のスライダーでイメージ通りの空振り三振だった。兄と同じように、仲間と秋田の青空に右手人さし指を突き上げる。込み上げた感情は、涙となってあふれ出た。

 「苦しかったけど、“俺がチームを勝たせる”と思って投げ続けました。代わるつもりはありませんでした」

 強い覚悟でマウンドに立ち続けた。無安打は4回だけで被安打は16。要所でギアを上げ、自己最速を1キロ更新する146キロも記録した。9回は今大会3度目の「侍ポーズ」を決め観客を味方に付けたが、連打に失策も絡んで1点差とされ、なお無死二塁。ここで右翼の近藤暖都(はると=3年)が熱中症気味の症状で担架で退場した。場内も騒然となる中、ナインもいったんベンチへ。ここで吉田の心が燃えた。「先輩から“お前に任せたぞ”と言われて、後は俺に任せろという気持ちになった」。2年生ながらエースとしての責任感を白球に込めて勝利をつかみ「先輩たちとの頑張りが報われてうれしくて…」と涙した。

 今夏は連覇を狙った第1シードのノースアジア大明桜との初戦で延長10回を2失点完投。3回戦と準々決勝は連続完封を決めた。準決勝は疲労も考慮され登板がなかったが、先発を託された試合は全て1人で投げた。兄のように大会を通じて1人で投げ抜く目標はかなわなかったが、4試合で計510球を投げ、兄も果たせなかった2年生での甲子園出場。「その部分では兄を超えられましたね」と照れ笑いを浮かべた。

 前回の甲子園出場だった6年前、兄は秋田勢として103年ぶりの決勝進出を果たし、準優勝で全国に「金足農旋風」を巻き起こした。アルプスから目を輝かせていた少年が、同じ背番号「1」をつけて聖地のマウンドに立つ。「兄を超えるのが目標。日本一しかありません」。2時間47分の激闘。大輝が、金足農ナインがたくましさを増した。(村井 樹)

 《兄から祝福「日程が合ったらスタンドで見る」》オリックス・吉田は自身がエースを務め、秋田勢103年ぶりの決勝進出で準優勝した18年以来6年ぶりの甲子園出場を決めた母校に「ずっと試合を見ていた。みんなで頑張った結果。おめでとうという感じです」と祝福した。

 決勝を終えた弟・大輝からは「勝ったぜ」というLINEが入ったことも明かし「日程が合ったら(甲子園の)スタンドで見るつもり」と笑顔。この日の楽天戦では救援で移籍後最長の2回を無失点に抑え、14試合連続無失点とした。

 《父・正樹さん「よくやった」》最後まで投げ続け、チームを甲子園へ導いた息子を吉田の父・正樹さん(48)は「あれだけ打たれながら、よくリードだけは許さなかった」とねぎらった。

 金足農野球部OBで、自身は92、93年の秋田大会準優勝に貢献。同じ投手出身ということもあって褒めることは少ないが「今日はよくやったと言ってあげたいですね。甲子園で投げる姿を見られるのも楽しみです」と、兄に続く聖地での活躍を期待した。

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