【蹴トピ】元J1リーガー 阿部陽輔さん ベンチャー企業入社 異色のセカンドキャリア経て「違う仕事」に
スポニチアネックス / 2024年7月24日 6時2分
異色のセカンドキャリアを歩む元Jリーガーがいる。かつてGKとして横浜、仙台などでプレーし、格闘家の顔も持つ阿部陽輔さん(34)だ。今年2月には不動産・建築領域を活用した資産価値共創事業を展開する「大和財託」に転職。これまでの波乱に満ちた人生や今後の展望などを聞いた。(取材・構成 垣内 一之)
大和財託の東京本社。全く畑違いの業界に足を踏み入れた阿部さんは、見慣れないスーツに身を包み「一度サッカー界から離れる決断もありかなと思い、スパッと違う仕事をやってみようと決めました」と充実した表情を浮かべた。
Jリーグでは期待されながらも公式戦出場なし。選手としては芽が出なかったが引退後は突出した行動力で華々しいセカンドキャリアを切り開いてきた。
(1)格闘家へ転身
「金沢を退団した13年に、引退覚悟でトライアウトを受けにタイに行きました。ただ現地に行ったら、“GKは探してない”と言われて…。最終テストではFWで出場して2得点しましたが、結局ダメで、引退を決めたら、そこでムエタイに出合っちゃいました(笑い)」
元々興味があった格闘技界に、異国の地で思わぬ形で足を踏み入れることになった。
(2)指導者と格闘家の二刀流
「タイには半年ほど滞在し、就職しようと思ったのですが、家族に大反対されまして。“じゃあ次は何ができる?”と考えたとき、頭に浮かんだのが指導者でした。それでまずは教員免許を取ろうと。(15年4月に)社会人入試で北海道教育大学に入学して、授業に通いながら、学生コーチとしてサッカー部を指導し始めました」
在学中にはGKコーチのB級ライセンスのほか、指導者A級ライセンスも取得。並行してボクシングにも打ち込んだ。
「(18年12月に)キックボクシングのプロライセンスを取得したのですが、足をケガするとサッカーの指導ができないので、ボクシングを始めました」
すると翌19年には、北海道予選を勝ち抜き、ライトヘビー級の国体の北海道代表に選出。同年の全日本社会人選手権では、ヘビー級決勝で元ラグビー日本代表の遠藤幸佑氏を判定の末に破って優勝を飾った。
(3)博士号取得
北海道教大卒業後はJFAアカデミー福島で指導者として活動する傍ら、筑波大大学院の博士課程で「GKの測定評価」を研究。発表した論文は世界のサッカー界に大きな衝撃を与えた。
「サッカー選手を対象にする測定はたくさんありますが、GKとなると研究対象から一気に減らされる。“じゃあGKに特化したものを作ろう”というのが僕の研究だった」
研究内容は「リアクティブアジリティー」。単なるアジリティーは主に方向転換などの俊敏性を指すが、リアクティブは「簡単に言えば情報を聞いてどれだけ早く反応できるかという能力」。研究ではある大学の主力と控えの数値を測定。「垂直跳びとスプリントなど単純な運動動作(アジリティー)には全く差がなかったけど、リアクティブは完全に主力が上と、有意な差があった」という。
この論文は世界中に発表され、今ではJFAの教本に掲載されている。現在のところの2つのアジリティー能力は相関性のみで、因果関係は不明のまま。それでも今後研究が進めば、GK育成に大きな影響を与えるトレーニング法が見いだされる可能性を秘めている。
(4)転職
指導者として順調な道のりを歩んでいたが、23年にJFAから契約満了を言い渡された。「その後、Jリーグの複数チームから声をかけてもらったんですけど、“結果を出さないと評価されない”みたいな感じでおびえながらやるのは、選手のためにもならないし、自分のためにもならない。ちょっと違和感があったので、このままサッカーにしがみつく必要があるのかなと思った」
そこで「元々資産運用や不動産に興味があった」と試験を受けて入社したのが大和財託。
「自分の強みはやっぱり元サッカー選手という点。今はプレミアリーグでプレーした選手も自己破産率6割を超えていると言われている。この先、日本でも同じ状況が起きると思って。だからアスリートに対してきっちりとした手法を取れば、“資産を守れる、増やせるんだよ”というのを、この会社と一緒に成長して携わっていけたら」
阿部さんの希望に満ちた“サードキャリア”がいよいよスタートした。
▽大和財託株式会社 2013年(平25)創業以来、毎年増収増益を達成している急成長中のベンチャー企業。不動産・建築領域等を活用した資産価値共創事業を東京・大阪をはじめとする主要都市圏で展開する。資産価値を創るさまざまなサービスを駆使し、“圧倒的顧客ファースト”を掲げ、お客さまの人生に伴走しながら今までにない価値を開発・建築している。設立10年で年商155億円を突破。
◇阿部 陽輔(あべ・ようすけ)1990年(平2)5月24日生まれ、北海道旭川市出身の34歳。旭川実高から09年に横浜入り。11年4月に退団も12年3月にJ2仙台(当時J1)入りし、同12月にJ3金沢(当時JFL)移籍。14年に引退し、15年に北海道教大に入学。教員免許と指導者ライセンスを取得し、全日本大学選抜やU―22日本代表、ビーチサッカー日本代表コーチなどを歴任。21~23年にJFAアカデミー福島で指導。1メートル87、89キロ。
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