【内田雅也の追球】「そつ」を巡る攻防
スポニチアネックス / 2024年7月27日 8時0分
◇セ・リーグ 阪神5―1中日(2024年7月26日 甲子園)
最近、何度か書いてきたことだが、阪神は長く初回無得点が続いていた。この夜1回裏の得点は6月16日、ソフトバンク戦(みずほペイペイ)での前川右京満塁弾以来、実に26試合ぶりだった。
その攻撃は実にそつがなかった。「そつ」とは『新明解国語事典』(三省堂)に<語源未詳>として<何かをするときに起こりがちな、不注意な点やむだな点>とある。起こりがちなのだ。
野球ではいくら安打を打とうが、塁上に走者を出そうが、本塁に還らないと得点にならない。「そつ」となるわけだ。
つまり、ここぞという得点圏で打者はいかに打てるか、投手はいかに抑えるかが問題なのだ。
1回裏は四球で出た近本光司をバントで送り、2死後、佐藤輝明が右前打した。本塁は間一髪だったが、近本が捕手のタッチをかいくぐった。この本塁送球間に佐藤輝が二塁を奪っていた。そして大山悠輔の右前打で生還したのである。
走者を二塁に進め、適時打で還す。今季は、こんな「つなぎ」や「あと1本」が出ずに苦しんできた。
球宴休み明け、再開の一戦を前に監督・岡田彰布は「つなぐということを思い出して」と訓示したそうだ。7回裏の森下翔太3ランも、代打の長坂拳弥が送りバントでつないだ後だった。試合後、岡田は「やはり流れというものがあるからな」と満足げに話した。
先発の村上頌樹が見せたのは、逆に相手に「そつ」を作らせる、つまり「あと1本」を与えない粘りの投球だった。
6回まで投げ、毎回の11長短打を浴びながら、1失点でしのぎ、1カ月ぶりの4勝目をあげた。
1回表無死二、三塁、3回表無死満塁、4回表1死一、二塁……と再三再四のピンチで粘った。
今季の村上が勝ち星に縁遠かったのは、味方の援護に恵まれなかったからだ。ただ、もう一つ、得点圏で79打数23安打、被打率2割9分1厘(25日現在)と粘りを欠いていた。最優秀選手(MVP)に新人王、最優秀防御率に輝いた昨季は2割9厘(67打数14安打)とピンチで強かった。
この夜は得点圏で10打数2安打と昨季並みの強さを見せた。安打は3回表無死一、二塁での内野安打と5回表2死二塁での適時二塁打。この粘りと辛抱が勝ちを呼ぶ。
チャンスとピンチ。投打に得点圏での強さが見えた一戦に、期待と希望がある。 =敬称略= (編集委員)
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